第340回:初詣①

Pocket

去年から今年に切り替わる瞬間、僕は寒川神社にいた。寒川神社とは、神奈川県の厚木と茅ヶ崎の間に位置する大きな神社である。八方除(はっぽうよけ)のご利益があるらしい。八方除とは地相・家相・方位・日柄等から起こるあらゆる災いを除く御祈願だと言う。簡単に言えば家内安全・福徳円満・商売繁盛といったところだ(HPより)。

23時半頃には現地に着くように出発した。ところが、神社近くの道路は駐車場を求める車でどこも渋滞していてなかなか近づけない。駐車場を扱う会社の社員としては少々居心地の悪い渋滞だ。結局、少し離れたところの臨時駐車場に急いで車を入れ、神社の前に着いたのは年越し5分前ころ。その時点で初詣待機群の混雑による入場規制がかかっていて境内には入れなかった。なんだかんだ、人込みの中で年を越すのは初めてだ。「これだけの人が集まれば、やっぱりみんなで大きな声でカウントダウンとかするのかなぁ」などと一人密かにウキウキしていたのだが、そんなことは全くなかった。各自スマホの画面を眺めながら静かに年の移り変わりを確かめ、一緒に来た数人の仲間と静かに挨拶を交わす程度。そうだった、日本人ってのは大人しく遠慮がちな人種なんだった。柄にもなくハシャグ覚悟をしていた僕は少し肩透かしを食らった気分だった。

新年を10分ほど過ぎた頃、やっと境内に入れたと思ったらそこからは思った以上に早かった。入口から本堂まで人が横一杯の列をなして並んでいたが、回転率が良く、スルスルと前に進んだ。手と口をゆすいで、華やかな装飾を施した鳥居をくぐり、本堂でお祈りして、おみくじやらお守りを買えるところまで行くのに30分ほど。本来人込みが好きではない僕だが、これくらいなら悪くない。毎年初めのルーティーンにしてもいい。おみくじは末吉。小吉に比べ良いのか悪いのかよく分からない。内容をよく読んでから木に結びつけて、交通安全のお守りを買って、屋台の並ぶお祭りチックなゾーンへと移動した。