第345回:ヒカリノアトリエ②


この“Over”という曲は、明るいメロディーに切ない歌詞を載せた失恋ソングである。心変わりをして自分のもとから去ってしまった彼女に対して、主人公が女々しく語りかけるような詞だ。その一番の詞の中に「顔のわりに小さな胸」という一説がある。彼女の好きなところを挙げた言葉だ。

僕は中学生で初めて聞いた時から、この歌詞に引っかかって仕方がなかった。

「顔のわりに小さな胸?」

いったいどういうことだ?体格だけはやたら良いのに、胸だけは小さいのか。顔だけがデカい彼女なのか?世の中には胸の大きいタイプの顔というものがあるのか。自分はまだ中学生だから分からないだけなのか?友達と議論したこともある。僕にMr.Childrenを教えてくれた先輩にも相談した。しかし皆、僕と同じ疑問を持つに至るだけで、納得のいく答えを導き出した者はいなかった。いかんせん男子校で、周りに女性経験豊富な男友達というものが存在しなかったのもあって、当時は「大人になれば分かるものなのかもしれない、、、」というところに落ち着くしかなった。

いつの間にか時は経ち、その疑問も心の奥底に沈んでいた。それが、今回の解説を聞いて、およそ10年ぶり、25歳の冬にして、やっと解決した。

 

大げさに前フリをしてしまったけれど、回答は大したことはない。単なる言葉足らず、「不徳のいたすところ」だそうだ。桜井さん曰く「セールスポイントとしては少しポイントの低い小さな胸だけど、僕はそれが大好きだったよ。なぜなら?世界でたった一つの、大好きな君の胸だから。」ということが言いたかったらしい。

蓋を開けてみれば本当に下らない、10年も悩むようなものではない。けど、僕にとっては悩んでいた自分が懐かしく、思わずププッと笑ってしまった。ポワッと心が温まるようなハッピーな気持ちになった。

久しぶりに買ったCDに思いがけないプレゼントが隠れていて、とても得した気分だ。またライブに行きたくなった。