第388回:ナイフ


読書家とは口が裂けても言えないけれど、僕も少しは習慣的に本を読むようになった。今住んでいる柔道部寮の地下にある大きいお風呂で、一人半身浴をしながら読むのがお気に入り。今回は、そんな僕のちょっとした読書感想文である。

 

ここ1週くらいかけて、重松清さんの「ナイフ」を読んだ。“家族”をテーマにした短編小説である。ブックオフの100円コーナーで買ってきた。

まず僕は基本的に短編が好きではない。一つ読み切るのに必要な時間と頭の容量が、どこか中途半端な気がして、何となく落ち着かないのだ。今回の「ナイフ」は、文庫本の背表紙に書いてある紹介文的を読んだは読んだが、これが短編集だとは書いてなかった故、間違えて買ってしまったのだ。

率直な感想としては、読みやすいし、ところどころ刺さるものもあるんだけれど、あまり共感することはできなかった。短編集だから一まとめには言えないのだけれど、全体的にいじめられっ子などの弱い者を主人公にした話が多かったのだ。幸い僕は今までイジメというものに触れることなく生きてきた。こんなことを言うと、「僕は藤井にイジメられました」と幼稚園・小学校の同級生辺りが何人か手を挙げそうだ。そういう人たちにはこの場を借りて心の底から謝罪するが、少なくとも僕の自覚としては、イジメたこともイジメられたこともなく生きてきたつもりだ。だから、やり返せない子の気持ちがなかなか理解できないのだ。

もう2冊くらい重松清さんの本を買ってあるんだけど、この共感出来なさは困ったもんだ。買った分は全部読むけど、少し苦戦するかもしれない。あるいは、それらを読み終わる頃には、僕にもいじめられっ子の気持ちが分かるようになっているかもしれない。