人の評価


今年の高校野球、夏の甲子園大会は中京大中京高校が全国4041校の頂点に立った。甲子園に出るだけでも大変なのに甲子園出場組の中でその頂点に立つには相当な実力と運を兼ね備えている必要がある。しかし、実際のところ、甲子園の優勝チームと甲子園の1回戦で負けたチームの実力の差はどれくらいあるのだろうか?たとえばバッティング練習やピッチング練習を見たりすることでチームの実力を正しく把握することができる人はどれだけいるだろうか?

80年代半ば、桑田・清原選手を擁するPL学園高校が甲子園で段違いの強さを誇っていた。当時、プロ野球のセントラル・リーグで最下位の多かったヤクルトスワローズはPL学園より弱いのでは、と揶揄されていた。いくら最下位とはいえ、プロ野球選手のチームが高校生のチームより弱いということはないだろう。しかし、直接の対戦をしたことがない状態で、どちらの実力が上かを判断するのは意外と難しい。子供たちの間でPL学園の方が強いと本気で信じている子が少なからずいたのも無理はない。自分のレベルから離れた世界だとなかなか正しい評価ができない。先日、世界陸上ベルリン大会の100メートル走でジャマイカのウサイン・ボルト選手が驚異的な世界新記録で優勝した。しかし、彼が走っている姿と、アメリカのタイソン・ゲイ選手が走っている姿を見比べるだけで、どちらが速いかの判断をできる人はほとんどいないだろう。

野球の打者についても、打率が3割だとよく打って、2割7分だともう一つという感じを受けるが、3割打つ打者と2割7分しか打たない打者の違いは、100打数のうちの3本のヒットの差でしかない。記録を取らずに双方の100打数を見比べてみて、どちらの方がいいバッターか、判断できるだろうか?

多くの場合、客観的なデータがないと、細かい評価ができない。とても上手、なかなか上手、ふつう、あまり上手でない、下手の5段階の評価がいいところではないだろうか?子供からみると、高校野球の選手もプロ野球の選手もどちらも「とても上手」の部類に入り、その中でどっちが上手かという判断はできない。100メートル走のように同じ条件で一緒に測定すればどちらの実力が上かはわかりやすいが、そうでもしない限り、なかなか実力を比べるのは難しい。

どちらかというと実力の尺度がはっきりしていて、比較のしやすいスポーツの世界でも人を評価するということは難しい。ましてや人の知性や人間性を評価するということはもっと難しい。加えて、こういった評価においてはスポーツと違い、完全に信頼できる客観的なデータが存在しないことが多い。大学入試、就職試験、企業での人事評価、等、今の社会で、人が人を評価する場面はよくある。評価する側は、自分の評価する能力の限界、自分の考え方・見方の偏りを認識した上での評価を心がけたい。逆に、評価される側は、他の人の評価は評価として受け止める一方で、気にしすぎないことも大切だ。人の評価はそんなに当てにならない。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。