東大推薦入試概要発表について


東京大学で2016年度から行われる推薦入試の概要が本日公式発表された。教育理念、期待する学生像ともに、東大の日本でトップの大学としての自負が感じられていい。「入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも、学校の授業の内外で、自らの興味・関心を生かして幅広く学び、その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野、あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人」を期待する学生像として挙げていることに従来の東大生とは一味違う学生を求めようとする意思を感じる。

選抜方法については賛否両論あるだろうが初めから完璧なものはできないし出発点としてはよいのではと思う。

まずセンター試験で理系も文系も5教科を課し、「概ね8割以上の得点」を目安とするのは妥当だ。いくら学力以外の部分も大事と言っても東大で学ぶからには最低限の条件としてそれくらいの基礎学力は必要だ。

提出書類として調査書、志望理由書、学校長の推薦書、等を課すのは想定通りだ。ただし、「日本の高等学校等との連携を重視」するとして、学校長が推薦できる人数を男女各1人、合計2人までとするのはどうだろうか。各高校男女各1人にすることで各高校内での選抜を厳しくできる、また、学生の多様性を担保できるというメリットはあるのかもしれない。しかし、特定の学校に優秀な学生が数多くいる場合にそこから1人しかチャレンジできないというのは、優秀な学生を確保する、という観点からは勿体ないし、受験生側にも不公平感を残しかねない。

面接を課し、さらに学部毎に追加で必要な審査を行う、というのはとてもよいと思う。それぞれの学部の求める学生像に沿って法学部でグループディスカッション、文学部で小論文、医学部でプレゼンテーションを課したりするのは納得感があるし、受験生も大学入学後に直接つながる準備ができる。医学部のプレゼンテーションは、それだけ聞くとなぜ医者にプレゼンテーションが必要なのか、と思うかもしれないが、「推薦入試枠を医学研究者養成枠と位置づけ、最先端の医学・生命科学研究を担う国際的研究者を育成するために活用」するという医学部の「求める学生像」を読めば、なるほど、と思う。医学部医学科でセンター試験の基準点を他より高い780点、にするというのも納得がいく。

学部が求める書類等についてはもう少し自由度が高くてもいい。たとえば、医学部医学科では、科学系オリンピック等のコンテストでの顕著な成績を証明する書類か、語学力および国際経験を示す書類のいずれか1つを求めているが、それ以外にも求める学生像であることを示す手段はいろいろありそうだ。語学力が高いことと科学系オリンピックでの顕著な成績が同等に扱われていることにも違和感を覚える。「最先端の医学・生命科学研究を担う国際的研究者」になるために、もちろん語学力もあった方がいいに違いにないが、絶対的に必要な科学的能力に比べると本質的ではないように思える。あまり細かい要件は決めずにある程度の基準を示して、後は、受験生自身がなぜ東大医学部に入る資格があるのか、を自由にアピールできるようにした方が、本来採りたい学生を採れるのではないかと思う。

以上のように細かいところではいろいろ言いたいことがあるが、出発点としては十分だと思う。選抜手段の内容を徐々に改善しながら推薦入試の枠を増やし、それが他の大学にも普及して、多くの高校生が自身の将来に向けて本当に必要な努力ができるようになるといい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。