Kindle


先日amazon.comでKindleを購入した。E Ink社の電子ペーパー技術を使った電子ブックだ。米国での販売が絶好調ということはだいぶ前から聞いていて、日本でも発売されればいいなと思っていた。最近、amazon.co.jpの影響もあり、洋書は諸外国で買うのと大して変わらないレベルの価格で日本でも買えるようになっていたが、海外の新聞や雑誌を買おうとすると現地で買うよりまだまだ高く、しかも日本で買えるのは本国とは少し異なるバージョンのものであることが多い。それがネット経由であれば、たとえば米国に住む人と同時に、同じ内容、同じ価格のニュースや雑誌を買えるのではと期待を寄せていた。つい先日、ついにKindleのインターナショナル対応版が発売され、早速買ってみた。

ところが少し期待外れだった。表示等は問題ない。とてもきれいに表示されるし、ノートブックパソコン等と違い、バックライトがないから、印刷物のように見えて、目が疲れにくい。通信はつながらないことが何度かあったがそれほど気にならない。問題なのはコンテンツだ。

まずニュース。The New York Timesは米国からだと一カ月US$13.99で購入できるのに、なぜか日本からだと倍のUS$27.99かかる。ネット経由で買うからコストは一緒だと思うのだが、なぜか倍の価格。しかもThe Wall Street Journalのように日本からだと購入できない新聞もある。何のためにネットからダウンロードする電子ブックなの?という感じがする。

次に本。買おうと思っていたJohn Grishamの本が一冊も買えない。これも買おうと思っていたJeffrey Archerの本は米国からだと買えるが、日本からだとなぜか買えない。他にも購入を検討していた本がいくつかあったのだが、いずれも米国在住の人はKindle用に購入できるのに日本からだとなぜか購入できない。よくよく説明を読むと、著作権を国ごとに処理する必要があるらしく、米国では購入できるのに日本だと購入できない著作が多い。

おまけに、今回Kindleを購入してから気付いたのだが、本のダウンロード販売は必ずしも安くない。Paperbackを買うより高かったりする。確かにPaperbackより断然薄い端末に結構な量の本の内容を入れられるので付加価値はあるが、Paperbackの印刷から販売にいたるまでのチェーンを一気に中抜き出来ることを考えると、もっと価格を下げてもいい気がする。

期待外れのところばかり挙げたが、最後にやっぱりamazonはすごいな、と思った点。Kindleは携帯電話のネットワークを使ってニュースや本をダウンロードできるのだが、購入者は通信費を払う必要がない。(*1) もちろん新たに携帯電話会社と契約を結ぶ必要もない。ユーザはネット業者や通信費のことを全く気にせずにいつでも好きなときにコンテンツをダウンロードできる。これは、PCメーカーやiPodなどの携帯音楽プレーヤーのメーカーがやりたくてできなかったことだと思う。今まで携帯電話会社のデータ通信端末を組み込んで売っているPCなどはあったが、通信会社との面倒な契約から逃れることはできなかった。いつでもどこでもネットワークの設定なし、通信料なしで本や新聞をダウンロードできるKindleはかなり画期的だと思う。

amazon.comは創業当時、急成長していたものの多額の赤字を出していたため、先行きを危ぶむ声も多かった。それが、つい先日も好業績を発表し、株価もIT バブル以降の最高値をつけた。今回のKindleのインターナショナル対応版は少し残念だったが、今後、米国以外の国でのサービスも拡充し、さらなる発展を期待したい。自社の既存のサービスとのカニバライゼーションを気にせず、積極的に新しい技術をどんどん取り入れ成長していく会社を見るのは楽しい。

(*1)

通信業者に払う必要はないが、購入ごとにamazonには支払う。(10/29’09追記)


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。