切り札


部下の給与の決定権はマネージャにとっての切り札になる。無闇に振りかざさなくても持っているだけで言うことを聞いてもらいやすくなる。国家にとっての核兵器もある意味切り札になる。核兵器を実際に使う可能性は非常に低いが、持っていることで外交が有利になることがある。誰でも切り札がほしい。野球の監督であればチャンスに強い代打がほしいし、企業の経営者であれば、売れることが確実な商品シリーズをもっていたい。切り札をもっていることで余裕をもって戦いを進めることができる。水戸黄門の印籠のようにそれを持ってさえいれば皆が従うようなものがあれば、どれだけ安心で気分がいいことだろう。

しかし、本当の強さは切り札を持っていないところで発揮される。給与の決定権があれば部下がある程度言うことを聞いてくれるのは当たり前。給与の決定権がないときにこそマネージャとしての真価が問われる。給与の決定権がないと部下がついてこないようではマネージャとしての成功はいずれにしても覚束ない。何かがうまくいかないと「○○さえあれば」とついつい考えてしまうが、うまくいかないことを「○○」がないことの所為にするのではなく、「○○」がないならないで、何とかする方法を考えたい。給与の決定権や肩書がなくても情熱やコミュニケーション能力でチームメイトを引っ張ることはできる。企業の経営でも多くの場合、切り札となるような商品やサービスのない中で戦う必要があるが、切り札がなくてもこつこつと自社の商品やサービスを磨いて提供することで、社会で価値を出していくことができる。

将棋のプロは飛車と角を落としてもそこらの将棋打ち相手には決して負けない。それどころか、飛車と角以外の駒を使いこなして敵陣に攻め込み、圧倒的に勝ってしまう。切り札を持っていない場面でも、切り札がないことを嘆くのではなく、飛車と角を落とした将棋のプロがじわりじわりと敵陣に向かうように、持っているリソースを最大限に活かし、今すべきことを淡々と実行していきたい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。