仕事ゼロ


物理学で「仕事」といえば、物体にかけた力Fとその物体が動いた距離sを掛け合わせたF x sで表す。だからどんなに力を入れたとしても対象が動かないと「仕事」としては0になる。重いものを動かそうとして渾身の力を振り絞っても結果として動かなければ「仕事」0だ。これは社会における一般的な仕事にも通じる。たとえ時間をかけて一生懸命頑張っても成果を出さない限り仕事としては0と言っていい。努力するだけでは仕事をしたとは言えない。結果を出さなければいけない。

仕事というのはそのようなものだと思うが一方で自分を鍛える段階では必ずしも成果を出す必要はない。重いものを動かそうとして精一杯の力を出した結果、1ミリたりとも動かなかったとしても、もしそれが次につながるのであれば無駄にはならない。その時点での仕事は0だが、その間にももしかしたら筋肉が徐々に鍛えられているかもしれない。9回トライして成果が出なくても、10回目で仕事をすることができれば、初めの9回は決して無駄ではない。むしろ10回目で成果を出すために必要なプロセスと言っていいだろう。

仕事で結果を出すためには鍛錬が必要だが結果が出るまでの間の鍛錬はモチベーションを保つのが簡単ではない。10回目に成果が出るとわかっていればまだいいが今まで人がやったことのないような大きな仕事をやろうと思ったらどこまで頑張れば成果が出るかどうかわからない。重いものを動かそうと一生かけて押し続け、結局全く動かずに終わった、ということも十分あり得る。数学の難問に取り組んだ人、伝説の遺跡の発掘に挑んだ人、錬金術を追究した人、今までの多くの挑戦は成果の出ないまま、終わったことだろう。実際にはそこまで頑張り続けることができずに途中で諦めてしまった人の方も多いはずだ。

中学生、高校生の勉強でも同じような難しさがある。勉強で挫折してしまうケースの多くはちょっと押しただけではびくともしないような難しさを感じるからだと思う。押したらすぐ動くようなものばかりであればモチベーションを保ちやすいが、押してもびくともせず、どれくらい努力すれば動くのかもわからないとどこかで頑張れなくなる。実際にはそんなに難しくないことでも初めて挑戦して今までのようにはいかないと感じるとあきらめてしまう。特に数学や物理のように新しい概念を学ぶ科目の場合には初めは何を言っているのかさっぱりわからずに押してもびくともしない感じを受けることもあるだろう。そのようなときでも何度も押せばいつか動くだろう、と楽観的に考えて何度もトライできるかどうかがその後の伸びを大きく左右する。

仕事や勉強で成果を出すことはもちろん大事だしそこを目指す必要はある。しかし、焦って結果を出すことよりも、仕事0の間もこつこつ努力を重ね、将来の仕事の実現に備えることの方がより重要だ。焦らなくても実力がつけばいくらでも仕事はできる。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。