公約


政治家が立派な公約を威勢よく掲げて当選した後、みるみるトーンダウンして大幅に妥協していく姿をこれまで何度も見てきた。なので、投票する際には公約の実現を前提とするのではなく、その実現可能性も併せて投票する側が評価することが当たり前のような感じになっている。公約の実現が簡単ではないことを認識しつつも、何としてでも公約を実現しようとする粘り強く実行力のある政治家が少ないことを残念に思っていた。ただ、先週ホワイトハウスを去ったトランプ元大統領の4年間を振り返ると頑なに公約を守るべきという考えが若干揺らぐ。トランプ氏はその言動に対して矛盾が指摘されることも数多くあったが大きな方向性は就任前に発言していたことからぶれていない。一部の国民や野党からの批判にひるむどころか、まるで批判を自らの推進力にするかのようにAmerica Firstの原則に沿って、メキシコとの国境の壁の建設、パリ協定離脱、中国に対する強硬姿勢、等、押し通してきた。実現まで辿りつかないことであっても、あらゆる手段を使って実現しようとする執着心が伝わってくる。未だに熱烈な支持者を集めるのは、ぶれない強さと実行力に魅力を感じるからだろう。ただ、公約を支持する人だけの方を向いて、その実現にこだわるあまり、この4年間にアメリカ国内の分断は大きく進んでしまった。公約は守るべきではあるが、ある程度の妥協をしていれば、ここまで分断は進まなかったかもしれない。暴動につながるような言動は論外だが、そういった犯罪まがいの行為を除いて、成果だけに注目しても功罪相半ばする。

政治家にとっての公約は企業の経営者における目標とも似ている。企業でも一度目標を立てたからには何としてでもそれを達成するという強い姿勢が大事だが、こだわり過ぎると弊害が生じることもある。状況に応じて、ときには当初の目標を修正して、柔軟に対応した方が会社にとってよいこともある。それは個人のレベルでも同じだ。自分の立てた目標にこだわることは大事だがその達成のために無理をし過ぎて体調を崩したりすると元も子もない。

とはいえ、トランプ元大統領のようにこだわり過ぎることが弊害になるほど、こだわることは実はとても難しいことだし、組織や自分に悪影響を与えるほど負荷をかけることも簡単ではない。どちらかという達成できない言い訳を考えて妥協する方向に動いてしまいがちだ。ときに見直すことは必要ではあるが、やはり公約は守るべきもので、目標は達成すべきもの、というのが原則だ。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。