勉強嫌い


中学生や高校生のときに走るのが大嫌いだった人が大人になってからマラソンに挑戦したり、元々勉強嫌いだった人が大人になってからその面白さに目覚めたりすることは珍しくない。嫌いだったからこそ後で好きになるということもあるだろうから仕方のない部分もあるが特に勉強のように積み上げていくものにおいては10代のうちにやるのと大人になってからやるのではその人の人生に対する影響が大きく異なり面白さに気づかないまま大人になるのはとても勿体ない。

ベネッセ教育総合研究所の調査によれば小学生から中学生にかけて学年が上がるにつれて勉強嫌いが増える。高校生の勉強嫌いは7割を超えているという調査もあるが実感としてもそんな感じかなと思う。中学生・高校生で勉強が好きな人は稀だ。勉強をしっかりできる子も嫌いだけどやらなければいけないからやるという子が多い。国立青少年教育振興機構の調査によれば日本の高校生の9割以上が勉強を大事だと考えている。好きかどうかは別としてほとんどの高校生は少なくとも勉強が大事だとは認識しているようだ。同じ調査で勉強の目的として6割以上の人が「将来、希望する仕事に就く」ことを挙げている。米国、韓国、中国の高校生と比べてこの目的を挙げる人の割合は際立って高い。日本の高校生の勉強の目的として2番目に多いのは「大学進学のため」だ。将来、希望する仕事に就く、いい大学に行く、という目的のために、あまり好きじゃないけどやらなきゃいけないと思っているというところだろうか。一般入試の受験勉強をせずにAO入試や推薦入試で一流とよばれる大学に進学する人に対して「ずるい」という感情を持つことが多いのもそういうマインドが背景にある。

中学高校の教師にも勉強はつらくて大変なものだがやらなければいけないものと認識している人が少なくない。今頑張ればいい大学に進むことができていい会社に就職できると生徒を説得しようとする。中学高校の部活の多くが楽しむことよりも鍛錬の場となっていることにも通ずるものがある。そういう鍛錬を重ねることが人生の糧になる部分もあるとは思うし、目的を達成するために頑張ることも悪いことだとは思わない。しかし、それで勉強嫌いが増えるようでは勿体ない。できることなら、目的達成のためにやらなければいけないからやるのではなく、楽しいからやる、という意識を持たせたい。もしかしたら勉強の楽しさを伝えるよりも将来のために今やるべきだと伝える方が生徒を勉強に導きやすいのかもしれないが、それでは大学受験の目標を達成したところでモチベーションを失ってしまうリスクがある。逆に勉強の楽しさを知ることができれば、受験勉強が終わって無事大学に入学してからも、わくわくしながら新しい知に触れて貪欲に学業を進めることができる。大学に入って勉強ばかりする必要はないが向学心にあふれた学生の方が楽しそうで充実した学生生活を送っているように見える。