大義なき解散vs選挙目当ての数合わせ


今日の日本経済新聞の朝刊1面トップには衆議院議員選挙の序盤の情勢について「与党300議席に迫る勢い」という見出しの記事が載っている。昨年の英国のEU離脱についての国民投票、米国の大統領選挙について、マスコミによる世論調査や予想が当てにならなかったことを考えるとまだ投票日まで1週間以上ある現時点で確かなことは何も言えないが、今のところこのタイミングでの安倍内閣の解散の決断は吉と出ているようだ。

そもそも今回の選挙戦は、前回2014年の解散と同様安倍内閣による大義なき解散から始まった。前回は消費税の10%への引き上げの延期について、今回は、消費税増の使途について国民に問うという、尤もらしい(かどうかも怪しいが)理由を掲げてはいるが、いずれもどのタイミングで選挙を行うのが与党に有利か、ということだけを考えての解散にしか見えない。今回は森友・加計問題で内閣の支持率が下がりつつある中で、民進党の代表選をめぐる混乱という敵失があり、内閣改造というカードも8月に切った今、残り1年と少しの衆議院議員の任期を考えると今しかないという判断だったのだろう。前回も今回も内閣改造後2か月での解散だ。噂のあった小池都知事による新しい政党(現・希望の党)に準備の期間を取らせたくなかったという意図もあっただろう。戦後、解散なしに衆議院議員が任期満了まで務めたのは1度だけなので現内閣の問題というよりは仕組みの問題なのかもしれないが、与党による恣意的な解散は国民にあまりメリットがなく、野党は大義のない解散に対してもっと強く批判してもよかった。

選挙のことしか考えていないように見えるのは野党も同じだ。民進党の議員が希望の党に合流する動きを見て「選挙目当ての数合わせ」と自民党が批判するのは当たっている。2009年から2012年にかけての民主党政権による混乱が記憶に新しいこともあり、いくら与党に対する信頼を失っていても寄せ集めでできたばかりの政党に政権を任せようとはなかなか思えない。さらに最大野党であった民進党がどうなっているのか、希望の党への合流する組と民進党幹事長だった枝野幸男氏が結成した立憲民主党に分かれて解党になったのか、参議院ではそのまま党として残るという話もあったりして何だかよくわからなくなっていて、何とか今回の選挙を乗り切ろうとして右往左往している様子が目に浮かんでしまう。このあたりが、現時点での与党有利な情勢につながっているのだろう。

1993年に「55年体制」が崩れてから24年になるが、未だに野党がくっついたり離れたりして安定しない。小選挙区制の導入もあり1993年以前に比べればだいぶ政権選択選挙という言葉の現実味は増しているが、今の政権がだめならこっちに、という選択はなかなか恐くてできない。選挙はそう頻繁にあるものではないし、1人1人の立候補者にとってはその選挙で当選するかどうかは今後の人生を左右するとても大きなことであり何よりも優先度を上げて取り組むのは理解できるが、各政党は組織としてもう少し長期的な視野で戦略を立てる余地がある。政権を取った際の政策を地道に検討し、時が来るまでじっと待つという手だってある。党自体が行き当たりばったりのように見えると結局国民の信頼を得ることはできず選挙に勝てない。