学習や教育を取り巻く環境の変化 2018


2020年に実施が予定されている大学入試改革まであと2年となり、新しい入試の全貌が明らかになってきた。2021年1月に初めて実施される予定の「大学入学共通テスト」は、昨年に続き、今年の11月に試行調査が行われ7万人近い高校生が参加した。この試行調査は本番前最終となる予定で、新しく導入される記述式の問題や多肢選択問題に対する懸念や心配の声はあるが概ね内容は固まったとみてよい。

大学入学共通テストに関連して最も懸念の声が大きいのは英語の民間資格の活用の仕方だ。大学入試改革の大きな目玉だが公平性や評価の信頼性・妥当性に対する不安の声が未だに消えず、むしろ大きくなっている感さえある。大学入学共通テストで受験可能な英語の民間試験について英検やTOEFLなど7種類の試験が認定されるなど運用方法が具体的になりつつある一方で、国立大学では消極的な動きが目立った。東大が9月に英語民間資格を必須としない、という方針を示したのに続き、今月、東北大や京大でも同様の方針を発表した(洋々代表 清水のブログ「東大による英語民間資格の活用」)。

大学入学共通テストの内容が明らかになりつつある中、私立大学でも2020年以降の入試の実施方針について発表が相次いだ。早稲田大学では看板学部の政治経済学部が一般入試で大学入学共通テストや民間の英語資格を積極的に採り入れ、通常科目の独自試験を廃止するというかなり大胆な入試改革を発表した(洋々代表 清水のブログ「早稲田政経2021年度入試改革の衝撃」)。一方で、慶應義塾大学は2021年度入試においていずれの学部でも大学入学共通テストを利用せず、一般入試においては民間の英語資格も使わないという方針を明らかにした。早慶がお互いに大きく異なる方針を示したことで、他の私大がどちらかに追随するのか、あるいは第三の道を選ぶのか、来年以降注目される。

大学入試といえば2つの問題が大きな話題になった。今年の初めに話題になったのは大阪大学と京都大学の入試のおける出題ミスだ。いずれも2017年2月実施の入試における出題の誤りだが発覚と対応が遅れ今年に入ってから追加合格が出された。もう一つは医学部の入試の得点調整の問題だ。女子や浪人生が不利になるように操作されていたことが東京医大を始めとする複数の大学で明らかになった。2つの問題に対する批判と反響は大きく、今よりもオープンでフェアな入試になる方向で動きそうな雰囲気はある。

大学受験における英語の試験で4技能が問われるようになることもあり、英語学習に対する熱はさらに高まっている。2020年度に小学5年生、6年生で英語が正式教科になることの影響もありそうだ。私立中学校の入試でも英語を採用する学校が年々増えて、関東地方の中学校で2018年度の入試で英語を試験科目として採用したのは111校にまでなったそうだ。中には英語スピーチを課すような中学校もあった。高校生向けのものでも従来のいわゆる受験英語とは異なる、外国人と会話を特訓するような講座が増えつつある。英会話学校の講師が高校に出張して授業を行ったり、高校にSkype英会話の環境を導入するような動きもある。

英語に並んで引き続き教育熱が高いのがプログラミングを始めとするテクノロージースキルだ。政府の関心も高く、大学入学共通テストにプログラミングなどの情報科目が導入される方針が発表された。元々習い事としてのプログラミング教室は普及しつつあったが、高校生向けにプログラミング講座を開く学習塾も出てきた。2020年度に小学校でプログラミングが必修化となることもあり、学童保育でプログラミングが学べるところも出てきている。

テクノロジーは学びの対象としてだけでなく、学びのためのツールとしても活用が進んでいる。EdTech(エドテック)という言葉もだいぶ普及してきた。授業配信に加えて、学習者のためのSNSサイトの利用者も増えている。AIを活用した教育はまだ実用レベルになっていない印象はあるが、英検のライティングやスピーキングについて2019年度から一部AIによる自動採点が導入されるなど今後実用化の場面は増えていきそうだ。

英語やテクノロジー以外では歴史や政治についての教育が変わりそうだ。高校の学習指導要領の改定案が文部科学省から公表され、世界史、日本史の枠に囚われず近現代史を学ぶ「歴史総合」という科目や政治に参加するために必要な法律や政治制度を学ぶ「公共」という科目が新設されることになった。これらの科目は2022年度の高校入学生から実施される。

入試改革後に大学受験を迎える現高校1年生が受講生として来ている今、洋々も当事者として各大学の動きを注視している。新しいテクノロジーにも引き続き注意を払い活用できるものは積極的に採り入れていくつもりだ。引き続き普遍的な学びの場を提供しつつ、個別指導の強みを活かして新しい大学受験にも柔軟に対応していきたい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。