安全と効率


食品の賞味期限でも自動車の速度制限でも世の中のルールは保守的に作られることが多い。食品の賞味期限はおいしく食べられなくなる時期のはるか手前に設定されているように思うし、自動車の速度制限もドライバーとして感覚的に適切だと思われるスピードより低く設定されているように感じることが多い。いずれも安全を確保するためにある程度の余裕を持って設定されているのだろう。初めはそれでもよいが余裕を持たせすぎると消費者やユーザーは次第に少しくらい過ぎていても大丈夫だろうと考えるようになる。危険なのは賞味期限を改ざんしたり、速度超過したりすることに対する罪の意識が薄れていくことだ。現状のルールの範囲を超えても多少ならば安全に問題はないと確信している場合、違反することに対して後ろめたさを感じにくくなる。スピード違反については多少であれば警察が取り締まることも少なく、むしろ制限速度より若干高めが「普通」になっているところもある。

ルールを作る際に初めは安全第一に少し保守的に設定するのはやむを得ない。すべてのリスクを事前に想定することは難しいからだ。ただ、安全性を重視するばかりに無駄が生じたり、便利さが損なわれたりする場合は、保守的な設定を徐々に緩和していく必要がある。そうでないとそのルールを無駄と感じる人がなし崩し的に違反するようになってしまう可能性がある。違反するのはよくないが、違反する人がいるということは現状のルールに無駄な部分があることを示唆しているのかもしれない。安全性と効率や利便性を両立させるのは簡単ではないがその微妙なラインを探っていかなければいけない。

東海道新幹線の「のぞみ」が3分おきに駅に入ってくる様子をみるといつも感銘を受けるがもちろん初めからその間隔で運行されていたわけではない。1964年の開業当初「ひかり」は1時間間隔での運行だった。そこから時間をかけて、安全を犠牲にすることなく、しかも列車の速度を上げながら、運行間隔の大幅な短縮が実現された。規模の大きな空港で次々と飛行機が離発着をしている様子を見ていても安全と効率が両立していることが見て取れる。

社会のルールに限らず、たとえば契約であったり、システムであったり、社内の決め事でも、初めは保守的に作らざるを得ないことが多いが、学習を重ねて適切な位置を探りつつ徐々に変えていくことはできる。問題が起きるリスクを避けつつも関与するすべての人にとってメリットの大きいところを模索することで最適な地点を見つけられるといい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。