小論文と志望理由書


AO入試や推薦入試で求められる出願書類、特に志望理由書のことを小論文と呼ぶ人は少なくない。しかし、大学受験の世界では小論文と志望理由書は明確に区別される。「小論文」は試験会場で時間制限のある中、与えられたテーマについて記述するもので、当然他の人の力を借りることはできない。「志望理由書」は自身のことについて自由に語る書類であり期限までに何度も推敲できるし他の人に読んでもらってアドバイスをもらうことができる。洋々ではいずれの準備のサポートも行っているがそれぞれに対するアプローチの方法は大きく異なる。

小論文の場合は制限時間内に論理的で、かつ、説得力のある回答を作成する必要がある。多くの場合、自分の意見を明確に書く必要があるが、それが本心であるかどうかは問われない。ある論点に対して賛成の立場を取っても反対の立場を取ってもいい。たとえば、「早期英語教育についてどう考えるか」という問いに対して、論理的で説得力があれば本心に関わらず、積極的に推進すべきという立場をとってもいいし、慎重に検討すべきという立場をとってもいい。限られた字数、時間の中で論理的かつ説得力のある答案を作成するために、文章の型を覚えることが効果的だ。洋々では演習と個別指導を通してフレームワークを習得してもらう。

一方で志望理由書は自分が本心から思うことを書く。少なくともそうすることを大学からは求められているし、洋々でもそうするように促す。他の受験生と差別化するために自身の世界観を魅力的に描く必要があるが人によって今までやってきたことや将来やりたいことは異なり当然その大学学部を志望する理由も変わってくる。自分らしい世界観を1000字や2000字で伝える上では文章の構成も自分らしいものにしたい。そのため洋々では志望理由書作成のサポートをする際に小論文で指導するようなフレームワークは使わないし、過去の合格者の書類を見せることも原則しない。自分の世界観を伝える上で重要な要素はあるのでそれはサポートの中で伝えるが、こうでなければいけないという型を教えることはない。むしろ他の人とは異なるその人だけの発想をできるだけ引き出すことに重点を置く。

実は自分の世界観を伝える上でも論理的で説得力のある文章は必要になるので小論文を学ぶことは志望理由書作成の上でも役に立つ。また、大学学部によっては試験会場で行う時間制限のある小論文の試験で志望理由書的なことを書かせるところもあるので、両方のアプローチを知ることの相乗効果は小さくない。ただ、基本的に小論文と志望理由書は全く別のものであり、評価の基準も大きく異なることは認識しておきたい。特に志望理由書を書く際に小論文的な型にはまった文章を書くと折角の独自の世界観がつまらないものに見えてしまうことがあるので気をつけたい。