新たな見方を受容する柔軟性


動いているものに力を加えないとそのまま動き続ける、という慣性の法則を初めて聞いたときの違和感はとても大きかった。野球のボールをどんなに遠くに投げても、目に見える範囲で地面に落ちて、ゴロになって、最後には止まってしまう。サッカーボールを蹴って、最初は勢いよく転がせても見る見るうちに勢いがなくなりやがては止まってしまう。氷の上であればなかなか止まらないのはイメージができるがそれでもそのうち止まってしまうのは感覚としてわかっている。それが何らかの力が加わっているからでそうでなければそのまま動き続けると言われても簡単には納得できない。

直観と違うと意味では地球が丸いというのも受け入れ難かったし、その地球が太陽の周りを回っているというのも初めてそのことを聞いてから納得がいくまで時間がかかった。地球と太陽が重力で引き合うことによって地球が太陽の周りを楕円運動するところまで想像できるようになった後もすべての物体に星と同じように万有引力が備わっているということはなかなか納得できなかった。磁石ならともかくすべての物体がお互いに引き合っているなんて!

地球上で目に見えるものは、例外なく何らかの力を加えないと止まってしまう。そこから物体は力を与え続けなければ止まる、と一般化したくなるのも無理はない。それに対して動いている物体は動き続けるのが原則でそれが静止するのは何らかの力が加わったからだ、という見方をするためには深い洞察力が必要だ。ただ、自分で気づかなくても誰かに教えてもらえれば最初は違和感があっても段々とその方がよりシンプルに物体の動きを理解できることに気づく。

平地に立って見渡しても地球の丸さを感じることは難しい。球面だったら地面に置いたボールが転がりそうなものだ。地面が動いていることも全く感じない。自動車や電車に乗っている感じとは違う。そこから地面は平らで固定していてその周りを太陽が回っている、と結論付けるのも不自然ではない。しかし、一度地球が丸くて地球の方が太陽の周りを回っているという世界観を知れば、初めはいろいろな疑問(見渡す限りの平地が存在するのは何で?何で地球が動いているのに地上にいる人はそれを感じないの?)が生じるものの、次第にその方が諸々の現象をうまく説明できることを理解する。万有引力についても質量と距離で決まるというシンプルな考え方を知れば、自身で実際に感じられるのが地球の重力だけであってもその法則に納得がいく。

経験や知覚に基づいて構築してきた自分の世界観は新たな学びによって再構築される。新たな見方には最初違和感があって心地のよいものでないかもしれないが、より整理された形で自分の世界観を再構築できればそれはとても楽しいし学びの醍醐味である。学びの真最中である学生はもちろん社会人であっても自分の見方に固執するのではなく、ときには自分の感覚も疑い、常に新しい見方を受け入れる柔軟性を持っていたい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。