シカゴ大学によるテスト信奉者への牽制


受験と言えばテストの点数で競うイメージがある。エッセイや活動履歴を含む出願書類を重視する米国の大学でもSATやACTといった標準テストのスコアをそれなりに重視するところが多い。多くの大学で入学許可者のスコアの範囲を公開しており、スコアとランキングにおける順位との相関性は高い。ところが先週木曜日にシカゴ大学が入試におけるSATやACTのスコアの提出を必須としない、と発表した。

UChicago Empower Initiative Launched(シカゴ大学アドミッションズ)

Class of 2023から始めるということなので、今年の秋から来年春に向けて行われる入試において早速適用されることになる。これまでも標準テストを必須としない大学が増えつつあったがトップスクールと呼ばれる名門大学の中では初めてのことで米国でもそれなりの大きなニュースになっているようだ。ウォール・ストリート・ジャーナルでも金曜日の紙面で取り上げている。

University of Chicago Drops SAT, ACT Requirement for Admissions(ウォール・ストリート・ジャーナル)

シカゴ大学アドミッションズの「UChicago Empower Initiative」の説明を読むとSATやACTのスコアの重要度が低くなったわけではないことがわかる。むしろ選考のプロセスで引き続き重要な位置を占めるため、基本的には提出することを薦めている。SATやACTに自分の能力が正しく反映されていない、と考える場合に限り(しかも米国内の出願に限り)、提出しないというオプションを用意した、という感じだ。とはいえテストスコアは必須ではない、というのは強いメッセージになる。学校の成績、エッセイ、推薦状、テストのスコアのいずれかを特別に重視するわけではなく、全体を見て多面的に評価する(”holistic review”)姿勢を改めて強調した形だ。

元々米国のトップスクール入学の選考のプロセスにおいてSATやACTのスコアが決定的な役割を果たすことはあまりない。満点でも不合格になることもある。ただ、そうはわかっていても数字で結果が出るとどうしてもそこにこだわってしまいがちだ。客観的な指標はあってもよいと思うので今回のシカゴ大学の方針に全面的に賛成するわけではないが、本質的な力の向上よりもスコアアップに熱中する受験生にはよい牽制になるのではないかと思う。


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