スペック


工学部出身で元々エンジニアとして働いていたせいなのか、数値によるスペックは常に気になる。PCを購入する際にはまずCPUのスピードやメモリやSSDの容量、画面の大きさや本体の重さに目が行く。スマホを購入する場合は画面のサイズや解像度、重さ、バッテリーの持続時間に加えて、Felicaが使えるかどうか、などを調べる。自動車であれば排気量、エンジンの最大出力やトルク、燃費、駆動方式といったところを確認する。

物の評価だけでなく、人の評価においてもスペックに目が行きがちだ。たとえばビジネススクールの入試面接を行っていたとき、どの大学のどの学部を出ているか、大学時代のGPA、GMATやTOEFLなど標準テストのスコア、といったところは一通り確認する。スポーツ観戦を楽しむ上でも個々のプレイヤーの数字に注目する。相撲取りであれば身長や体重が気になる。野球でいえば身長、体重に加えて、足の速さ、肩の強さ、スイングスピードなどにも注目する。

ただ、これらのスペックは大いに参考にはするものの、評価の決め手になるわけではない。PCやスマホであれば、手に持った感触や安定性、画面の見やすさ、文字の入力のしやすさ、自動車であれば乗り心地やハンドリングのよさ、など、数値では表しにくいものも重要になる。スペックで見るとほぼ同等の日本車とヨーロッパ車の価格が大きく開く(ヨーロッパ車の方が高い価格で売れる)ことがあるのは、スペックに表れないところでの評価の差が大きいからだろう。

人の評価においては、物以上にスペックが頼りにならない。まず数値自体の信頼性が低いものが多い。GPAや英語の資格のスコアがどこまでその人の学力や英語力を正しく示しているのかは疑問だし、仮にその数字が信頼性のあるものだったとしてもその人物のパフォーマンスにムラがある可能性もあり常にその実力を発揮できるとは限らない。CPUの周波数やエンジンの最大出力のような安定性を期待することは難しいのだ。さらに人の場合は、物以上に数字で表せる部分が少ない。社会で活躍するのに必要な要素としてよく言われるような協調性、リーダーシップ、コミュニケーション能力などほとんどのものは数値では表せない。

大学のAO入試や推薦入試においても書類で自身のスペックを書く欄が少なくないし、高校の評定や英語資格のスコア、等のスペックに下限を設定する入試もある。そうなるとどうしてもそういったところに目が向きがちになる。実際そういった数値が全体の印象に与える影響は小さいとはいえない。ただ、その人物が魅力的に見えるかどうかにおいて、より重要なのは数値で表せない部分である。数字をよくする努力も必要ではあるが、スペックで表れない部分の強化も忘れてはならない。


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