入試改革の混乱と受験生への影響


大臣の不用意な発言に続いて英語外部資格の利用が急遽中止になってから連日話題になっている2021年度入試改革であるが元々あまり評判はよくなかった。大学入学共通テストにおける国語や数学の記述式は採点の精度を不安視する人が多く、中止になった英語外部資格の利用も公平性を疑う声が多かった。私は国語や数学の記述式も英語外部資格の利用も、「改革」を形として残すためだけに行われているのではないかと疑いたくなるような中途半端なものになっていて、手間のコストと比較してメリットが小さく、大学入試センター主導でやる必要はないと思っていた。

ただ、これらのことは何年も前から試行テストや議論を重ねながら決めてきたことで、一度決めたのであれば少なくとも数年はやってみたらいいとも思う。もちろん受験生の準備に著しく害になるようなことであれば即刻中止にすべきだと思うが記述式も英語外部資格の利用も幸か不幸か元々中途半端であったため実施しようがしまいがそこまで影響は大きくない。英語外部資格の利用は大学入試センターが進めてきた大学入試英語成績提供システムとは関係なく、入試に活用する大学が増えつつあり、今回、大学入試英語成績提供システムを利用するとしていた大学でもシステムを利用しない形でも受け付ける、としていたところが少なくない。仮に公平性に問題があったとして大学入学共通テストに採り入れられる動きが止まっても、各大学が外部英語資格を使って4技能を評価しようとする動きには逆らえない。国語の記述式についても採用するかどうかは大学側が決められる。大学入学共通テストを利用する大学であっても、国語の記述式については採用を見合わせる、としている大学も少なくない。仮に採用されるにしても数百字で書かせる小論文とは異なり、通常の現代文の学習以外に特別な準備をする必要はなく受験生への影響は軽微だろう。

そう考えると英語外部資格利用の中止に伴う混乱に乗じて、受験生の味方になったかのように今になって記述式問題の導入に反対する野党の動きには違和感を覚える。今回の入試改革のデメリットは以前から分かっていたことなので、反対するのであれば実施まで1年少しに迫った今ではなく、もっと前に議論すべきであったし、今になって導入するかどうかで揉める方が受験生の不安を煽るように思う。上記のように受験生への影響は言われるほど大きくはないので、当初のプラン通り進めた上で、もしそのときにあまり大学に活用されていなければ、こんなに予算を使ってこれだけ準備したのに全然使われてないじゃないか、という的を射た批判をすればいい。


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