国のトップの任期


ドイツのメルケル首相は来週行われる総選挙後に政界を引退するが、2005年からこれまで16年に亘って大国ドイツの首相を務めてきた。ドイツ史上初の女性首相なので就任当初から注目は集めていたがドイツの首相として世界の人が認識し始めたのは就任後数年経ってからかもしれない。移民政策で注目を集めた2015年に米タイム誌で「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に選ばれたが、これは就任10年目のことだ。

アメリカのバイデン大統領はアフガニスタンからの米軍撤退とその後のタリバン新政権樹立によって国内での支持率を下げている。そうはいっても任期途中で辞任が迫られるほどのことではなく、よほどのことがない限り4年の任期は務め上げるだろう。死去以外の理由で任期途中に辞任したアメリカ大統領はウォーターゲート事件のニクソン大統領くらいだ。さらにいえばほとんどの大統領が再選を果たして二期8年務めている。昨年現職大統領として大統領選挙に敗れたトランプ氏は少数派だ。

フィリピン大統領は任期6年で来年選挙が行われる予定だ。現職のドゥテルテ大統領は今でも支持率が高いが、フィリピン大統領の多選は認められておらず、副大統領として立候補する予定だという。ドゥテルテ氏が大統領に選出された時期は、アメリカでトランプ氏が共和党の候補として躍進していた時期と重なり、その物言いから「フィリピンのトランプ」とも言われていたのが昨日のことのように思い出される。海外から見ると6年という長さでももう交代か、となる。

翻って、日本では菅首相が自民党の総裁選に立候補せず、来月初めには首相が交代する運びになっている。菅首相が総裁選に出馬しないことを表明した今月3日、米ウォールストリートジャーナル紙は速報で、”just a year”で米国の重要な同盟国である日本の政治が再び不安定化する、と報じた。安倍前首相が任期途中で降りた後を引き継ぐ形だったので総裁としての任期が元々短かったとはいえ、国のトップが1年少しで退任することはとても残念だ。ロシアや中国のように制度を変えてまで、大統領や最高指導者の地位にとどまろうとするのは困るし、間違った方向に進もうとしたときにそれを咎めて牽制し、場合によっては辞任にまで追い込める仕組みはあってもいい。ただ、1年というのは短すぎる。国内外で人間関係を作りながら仕事に慣れるだけでも1年はかかりそうだ。1年で成果を出すのは難しいし、1年で評価を下すのも難しい。

次期自民党総裁は3年ある任期の初めから務めることになり、就任後すぐに行われる衆議院議員選挙でも多数派を占めることができれば、衆議院議員の任期も4年あり、基盤は安定する。各党のトップの選任に我々が直接関わることはできないが衆議院議員の選挙で賛否の意を示すことはできる。どのような形になっても一度決まった次期首相には少なくとも3年くらいは務めてもらうべく、当面は足を引っ張るのではなく、応援するまでいかないにしても見守っていきたい。


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