学習や教育を取り巻く環境の変化 2020


いかなる分野であっても2020年はコロナ禍の年としか言いようがないが学習や教育の分野ももちろん例外ではない。むしろ、まともに影響を受けた分野の一つだろう。首相による臨時休校要請や緊急事態宣言の発令により、4月までに小学校から高校までほとんどの学校が臨時休校を余儀なくされた。大学も多くのところでキャンパスへの立ち入りを禁止にしてオンライン授業に切り替えた。小中高は今では感染予防策を講じながらも教室での授業を行っているところが多いが、大学では未だにオンライン授業だけのところも少なくない。塾や予備校でも緊急事態宣言が発令された頃は、対面での授業が難しく、休業するかオンライン授業へ切り替えたところが多かった。

このような状況下で、オンラインでの教育が普及し、多くの児童や生徒はそれに慣れたことだろう。リクルートが提供するオンライン教育サービス、スタディサプリは3月以降の3か月だけで学校からの新規申込が600校、児童・生徒数が30万人を超えたという。ちなみに中国でオンライン教育を提供している作業幇教育科技という企業ではこの1年間で利用者数が5000万人増え1億7000万人になったとのことで桁が違う。作業幇の企業価値は今年11月時点で1兆円に達したそうだ。どの国でもテクノロジーを活用した教育の普及が進むがオンライン授業はすべての家庭で受ける環境が整っているわけではなく、教育格差の問題がこれまでとは異なる形で浮き彫りになった年でもあった。

今年の1月から2月にかけて行われた中学、高校、大学の入試については感染予防に気をつけつつも通常通り実施されたところが多かったが、3月に行われた国立大学後期の試験では中止や変更するところも相次いだ。大学受験においては、夏以降、入試改革初年度の総合型選抜(旧AO推薦入試)が各大学学部で実施されたが、文部科学省の通達により出願の時期が2週間後ろ倒しになった上、会場での面接や小論文の試験が中止になったり、オンライン実施になったりするところも少なくなかった。年明けにセンター試験に代わり初めて実施される大学入学共通テストは学業の遅れに配慮するために第二日程が設定されている(総合型選抜の出願時期同様、2週間後ろ倒しにする効果がどこまであるのかは疑問で、学業の遅れに対して配慮する姿勢を見せるためだけに設定されたようにも見える)。大学入学共通テストについては英語民間資格の利用と記述式の採用の見送りが昨年決まったことを受け、文部科学省で「大学入試のあり方に関する検討会議」が1月から始まった。来年には提言をまとめて、2024年度の入試から反映するべく各大学に改革内容を示すという。

コロナウィルス感染拡大のために強いられた変化が多いが、元々予定されていたり以前から気配のあった動きもある。小学校では新しい学習指導要領の下での教育が始まった。今年からついに小学校5、6年生で英語が正式教科になり、プログラミング教育も必修化された。また、通信制高校で学ぶ生徒が増加して、初めて20万人を超えた。少子化で高校生の数が減り続ける中で、通信制高校の生徒数はこの20年くらい増え続けているので、コロナ禍の影響がどれくらいあるのかは不明だが、全日制の高校でも活動が制限される中、今後ますます通信制高校の生徒数が増える可能性もある。今年は教育や学びの様々な分野で対面で行うことの必要性を改めて考えさせられる年でもあった。


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