新しい概念を理解する


日本の学校教育制度では国語、算数・数学、理科、社会、外国語の科目を中心に時間をかけて様々な学びを積み重ねていく。学びの中には1つ1つ水平に知識を増やしていく学びと新たな概念を会得する垂直方向の学びがある。たとえば、英語の単語を増やしたり歴史上の人物を覚えたりしていくのは前者、数学でこれまでにない捉え方を知ったり、新たな物理法則を覚えたりするのが後者にあたる。

多くの人にとって前者の水平に知識を増やしていく勉強の方が敷居が低い。やるべきことが明確で時間をかければ着実に自分の力が伸びるのを実感できるからだ。興味を持てない分野だと苦痛になることもあるが、一度コツを掴めばその後は同じように進めていけるので途中で壁にぶつかることはあまりない。英語の単語を1つずつ覚えていけば確実に前より英文が読めるようになるし、歴史も過去の人物や出来事を知れば知るほど流れがわかるようになる。最初の100個を覚えるのと同じように次の100個を覚えることを繰り返していけばそのうちに数千のことを覚えることができる。覚えることを面倒に思うことはあっても、やれば確実に前に進める感覚を持てる。

一方で新しい概念を理解することには抵抗を感じることが多い。まず理解した後の景色がわからないため、その概念が何やら難しくて取っ付きにくいものに見える。これまでの経験や知識に基づく自分の直観も通じなさそうに感じる。すでに理解している人がいろいろ説明してくれても、本を読んでも、何を言っているのかよくわからない。自分がその概念を理解している状態を想像しにくいためどのようにすればそこまでたどり着けるのかのイメージも持ちにくい。私自身の経験を振り返っても、小学生で習った算数の割り算や分数から始まって、数学の座標、ベクトル、行列、複素数、等、初めに知ったときに、何それ?何のためのもの?と理解することに対して心理的な抵抗を感じたことは数知れない。数学だけでなく、国語で出てきた抽象的な言葉でも理解するのに苦労した概念は数多くある。いずれも言葉の定義はあって、それを覚えてテストで答えることはできるのだが、それと理解する感覚はまた別だ。高次元の空間とは何かを定義することはできてもその世界が実際どういうものなのかを理解するのが難しいのと同じだ。

しかし、難しさの一方で、この新しい概念を理解する、ということは学びの醍醐味でもある。やや大げさな言い方になるが自分の中でパラダイムシフトが起こるようなもので世界の見方、捉え方が変わる。しかも、初めは取っ付きにくく嫌な感じがしていても意外と時間がかからずにそういうことか、と理解できることも多い。もちろん、自分の知識が増えて水平方向に自分の世界が広がることもとても楽しいことだが、新しい見方を獲得して一段と高いところから見渡せるようになるとなおのこと学びを楽しめる。難しく感じることでもいつか理解できると楽観的に気長に構えて試行錯誤を続けるようにしたい。


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