2000字


大学のAO推薦入試で合否を分ける志望理由書の字数は大学や学部によってまちまちだが志望理由書を重視するトップ校では2000字を指定することが多い。原稿用紙5枚分だ。あまり文章を書き慣れていない高校生には文字数が多いように感じるかもしれないが書くべきことを洗い出して書きたいことをすべて書こうとすると逆に少なく感じるようになる。

今まで数多くの2000字の書類に目を通してきたが2000字という制限があるにも関わらず無限の可能性を感じる。5・7・5の17字の俳句でも未だに次々と新しい作品が生み出されていることを考えると当然と言えば当然だが、2000字という限られた文字数から読み取れるその人の世界観はとても多様だ。同じ志望校に対して同じテーマで書かれることも少なくないのだが書き方によって全く違う志望理由書になる。

志望理由書というからにはその大学学部を志望する理由を伝える必要があるのでロジックは大事だ。洋々で書類作成のサポートをする場合もまずは材料の洗い出しとストーリーラインの構築から始める。自分がこれまでやってきたことや考えてきたこと、それを経て今関心をもっていること、その延長上で将来実現したいこと、そのために大学で学びたいこと、等について一貫性を意識しながら整理してストーリーを考える。自分らしく、かつ、その大学学部を目指す理由が明確なストーリーラインができれば他の受験生との差別化要因になる。

ただ、よい形でストーリーラインが設定できたとしてもそれが2000字として魅力のある文章になるかどうかはまた別の話だ。まず、そのストーリーラインに沿って、どのような内容を入れるかで伝わり方が大きく変わる。自分のこれまでをどのようなエピソードで伝えるか、問題に対する真剣な思いをどのように示すか、大学での学習計画をどこまで細かく描くか、いずれも抽象的に書くこともできるし具体的に書くこともできる。加えて、その内容の表現方法によっても印象が変わる。熟語を多用することで硬めの文章にすることもできるしひらがなを意識して柔らかい文章にすることができる。多くの人は志望理由書を「だ・である」を基調とする常態で書くが、それを「です・ます」を基調とする敬体で書くことで柔らかい文章にすることもできる。音楽の長調と短調と同じで、どちらがよいということはなく、どちらが自分の世界観をよりよく伝えるかで選べばいい。

論理性と説得力で得点の決まる小論文の試験とは異なり志望理由書は文章が醸し出すその人の世界観がとても大事だ。それは自分自身の作品であり、アート的で完成のない奥が深いものである。


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