都立戸山高校 塾向け説明会レポート2021
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6月初旬、都立戸山高校にて塾対象の説明会が開催されました。このレポートでは、説明会の様子をダイジェストでお伝えします。
説明会内容
学校概要
戸山高校講堂で行われた説明会の最初は校長先生から学校の概要が説明されました。高校の教育目標は、生徒に幅広い教養を持たせ、学習のみならず課外活動も率先して取り組む文「部」両道を重んじ、強い意志を持たせる育成をするというものです。
また、日本の普通科高校では一般的に文系・理系の選択が行われますが、戸山高校では文理を分けず広く教科を学ぶことで「総合力」を高め、全員が国公立大学の一般入試受験をできるような力を付けていきます。
総合力の育成については、表に見えやすい力である「学力」、見えにくい力である「学ぶ力」、見えない力である「学ぼうとする姿勢」の3段階に分けて説明がされました。戸山高校では特に「学ぶ力」の育成に焦点を置いています。
また、戸山高校の有する教育プログラムは理系に留まらず多彩であり、それらを通じて特色ある教育活動が行われています。
進路指導
難関国公立大学と医学部医学科を合わせた進学数は直近3ヶ年では各年度30程度であり堅調です。在籍生徒の進路希望は多岐に渡るとのことですが先生方がチームとなり、年15回に及ぶ進学対策会議を行うなど丁寧に指導をなさっています。
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)
SSHとは文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を指定する制度ですが、戸山高校の指定は今年で4期4年目となります。現在はSDGsの実現とグローバルサイエンスリーダー育成を目指しています。
具体的には入学してからの3年間の探求環境の整備、生徒の学習到達度を多面的に評価する「ルーブリック評価」を活用することでさらなる進化を遂げようとしています。また、校外イベントの告知は年間で200を超え、多数の研究者メンターを確保するなど社会との接点を厚く備えています。
チームメディカル
医学部進学を志望する生徒対象のチームメディカル(プログラム)では、医療現場に触れ、大学医学部の研究をし、国公立医学部進学対策をします。リアルなイメージを最初に持ち、学年が上がるほどに具体的行動に置き換わっていく流れを取っているということです。
入試概要
一般入試
試験の課される5教科の内、都立共通問題が用いられる理科・社会以外で、自校作成問題となるのは国語・数学・英語の3教科です。そのそれぞれについて各教科担当の先生から2021年度入試の振り返りがありました。
国語では心情説明と作文の精度向上、時事問題への関心強化を求めていました。数学では特に状況を落ち着いて把握し、俯瞰する姿勢を持ってほしいということでした。英語では文章の正確な読解と正しい文法知識の運用をしてほしいというコメントがありました。
推薦入試
推薦入試では、ホームページやパンフレットに記載のある「グランドデザイン」を前提に選抜が行われますが、推薦入試の評価の観点は「本校の期待する生徒の姿」内に詳細が記されています。その上で特に、リーダーとして活動した経験と将来にわたりその資質を伸ばす可能性を評価しているということです。
所感と配布資料から読み解く推薦入試
所感
SSHやチームメディカルを筆頭に、核となる教育プログラムを複数有する戸山高校です。また、進学対策会議が綿密に行われるなど、進路指導もしっかりとシステム化されている印象が残りました。当然ながら、それぞれの先生方の工夫や個性が日々の学校生活の中に反映がされているに違いありませんが、具体的な教育施策を持つことで体系化された力を発揮することにつながりそうです。
配布資料から読み解く推薦入試
配布された資料から読み解くことのできる戸山高校の推薦入試について、続けてお伝えします。
小論文
小論文は毎年大問が2つ、社会と理科それぞれから1題ずつ出題されます。解答時間は50分間、解答の分量は大問2つ合わせて500字弱~600字程度です。
中学校の基本的な学習内容から出題をされていますが、大問が2つあることとそれぞれに提示される資料が複数あることから解答のスピードが求められます。発想力ではなく既習事項の確実な理解と分析の力を必要とします。
得点分布に関して2021年度入試は公表がされていません。ただ、過去のデータでは得点差は最大で100点程度ありました。
個人面接
また個人面接では、中学校での学習内容を重んじるという戸山高校のスタンスから考えると、受検生が自分自身を素直に、等身大の言葉で話すことが大切となりそうです。すなわち、中学で何をして、戸山高校で何をしたくて、将来は何をしたいのか等を自分の言葉で語るということです。
2021年度入試は感染症対策の観点から集団討論が行われていません。また得点分布は小論文同様未公開ですが、こちらも過去のデータから見ると得点差は最大で100点強ありました。
小論文と面接の重要性
過去のデータから考えると、小論文、面接(面接の素材となる自己PRカードを含む)ともに、今年も得点に大きな差がついたことが想像されます。
中学校の成績の「内申点1点」は、戸山高校の推薦入試では「調査書点10点」に換算され、調査書点の満点は450点になります。一方、小論文点と面接点の配点を合わせると450点満点であり調査書点と同じ配点です。つまり、小論文と面接の出来次第では合格の可能性を大きく高めることができるのです。
小論文に関しては、中学校の学習内容を断片的な知識としてではなく、各単元全体を理解することとグラフやデータ、資料の読み取りに慣れることが必要です。また、限られた時間で解答を作成するためのトレーニングをすることで確実に得点をすることができるはずです。
個人面接に関しては「リーダーとしての経験」を重んじた評価がなされますが、一口に「リーダーとしての経験」と言ってもどのように説明するのか、受検生のそれぞれにオリジナリティがあります。何を経験し、何に気づいたのか、そして将来の展望は…丁寧に洗い出し、自分の言葉で伝えられるようにすることで十分な準備となるでしょう。
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