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洋々LABO > 洋々コラム > ホリエッティの「三大陸周遊記」<死語の世界>その1

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語学はよく「いくつできるの?」と訊かれるが、確かにひとよりも渉猟したかもしれない。20くらいかなあ、齧ったのは・・・。

1)英語は中1から高3まで文科省の取り決め通りの単位は取ってきたはずである。ただ、公立中学にも当時のトップ都立高の1つ、戸山高校にも面白いと思える授業はなかった。いま、みずほ銀行の取締役という殿上人になっている山岳部の親友と、研究社からだったか、英文解釈の参考書4冊(基礎編・標準編・応用編・長文編)を競争したのがよい想い出である。

大学の専任として教えていたときは、「ビールは酒ではない、英語は外国語ではない」とうそぶいて、ゼミの学生たちによく真似された。語学の複雑さとして、てんで物足りないということだ。

2)ドイツ語は、大学文学部の必修科目として週3回習った。担当は、ほとんどAしかつけないと言われた「ほとけの黒岩」という、カフカ専門の独文科教授で「楽勝」だった。

学部3・4年時代は、ゼミでカントの『純粋理性批判』を二年間読んだ。1頁にピリオドが一つしか来ないラテン語みたいな悪文だった。だから本当に力がついたのは、大学院修士1年の夏から語学学校「ハイデルベルク」次いで「ゲーテ・インスティチュート」に4年間、通ったことと、ドイツ語とロシア語の怪物、三浦和男教授(柔道の有段者で学生時代に重量挙げの日本記録を持っていたはず)にヘーゲルの『精神現象学』で鍛えられたことによる。

やはり、語学は真にできる達人を見つけ、テキストの予習に血道をあげ、その予習内容を授業で木っ端微塵に砕かれて初めてつくことが判る。その後、ドイツ政府給費留学生試験に図らずも一回で合格でき、ゲッティンゲン→ベルリン→ミュンヘンと3年間ただ飯を喰うことができたのは、まこと得がたき副産物だった。

縁あって、ゲーテ研究で数冊本をものし、博士号を有する未亡人宅の3階屋根裏部屋に家賃月17000円で下宿した。奇しくも住所は「ベルリン通り」だった。

他界した旦那はベルリン自由大学のアリストテレス研究の教授だった。それは理想的な環境だった。なにせ日本語なら、さしずめ森鴎外の専門家にドイツ語の研究計画書など、ただで添削してもらえるのだから。

3年間もいると、ハノーヴァーの産業見本市の通訳をやったり、日本人学校で現代国語を教えたりする智恵もついてきて、すんでのところで、ノイシュヴァンシュタイン城(ルードヴィッヒ2世が建てたもので、シンデレラ城のモデルとも言われる)を案内するJTB観光ガイドになるところだった。

留守の日本で指導教授が、「いままで30数年教えたなかで、少なくとも古典ギリシア語に関しては、堀江が一番できる」と同僚の教授連に言ってくれていたらしい。ありがたいことである。それに一縷の望みを託したわけではないが、帰国すると助手のポストをあてがわれた。

3)フランス語は、上述のように必修ドイツ語が「楽勝」だったことも手伝ってか、学部1年の夏にアテネ・フランセに通い出した。

體育會少林寺拳法部の練習後に行くと、眠気が凄まじかった。2年の原典講読は、遠藤周作の友人で文学部長の三雲夏生教授にテイヤール・ド・シャルダンを習った。一コマ90分の演習中3語しか発しない先生だったが、存在感が半端なかった。どうも、私などは授業でしゃべり過ぎてしまう。反省! 

学部3・4年次には、文学部きっての切れ者、論理学の泰斗、大江晁先生のゼミナールで、デカルトの『方法序説』、ベルクソンの『思考と動くもの』序論を読んでいただいた。

指導教授の牛田徳子は博士論文を200頁のフランス語で書いていたから、まず、それを一人で一冊読んでみた。すると、読めるので自信がついた。

しかし、本格的にフランス語の勉強を始めたのは、デニス・オブライアン先生(新プラトン主義の世界的権威)にパリのCNRS(フランス国立学術研究庁)に客員研究員として一年間来ないかと誘ってもらってからである。またぞろ、アテネ・フランセと日仏学院に3年くらい通い出した。フランス語とはすこぶる相性がよい。しゃべるのがイタリア語同様、快楽だからだ。

4)初めての飛行機、初めての国外、初めての留学として28歳でドイツに渡り、一週間後にスペイン人の彼女ができたのは、それは大いに自信に繋がった。「眼が黒いところがいい!」と言うのだ。なあんだ、簡単じゃないか。

自称、マドリッドでファッション・モデルだったとか。センスにうるさかった。哲学を事とする私が理性で押しても、感性であっという間にやり込まれてしまう。でも、おかげでスペイン語は1ヵ月半で専門書の翻訳を読めるまでになった。これまでの語学習得で最速である。

やはり、語学はモチヴェーション! 「どうしたら、語学が身につくのですか」の質問には、自分の経験から、半分冗談・半分本気で「彼氏・彼女つくれー!」と助言する。

ほんとは、当時、取り組んでいた古代末期の哲学者プロティノスの最良の翻訳がイガルのスペイン語訳だったことによる。

いずれにせよ、語学習得は動機の強さいかんによる。「英語ができないんです。」→「やる意義が見出せないからだよ。」
(つづく)

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