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洋々LABO > インタビュー > インタビュー > 「事業家が世界を幸せにする時代へ」―武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 伊藤羊一学部長インタビュー

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数十年前と較べたら、世の中は確実に便利になった。しかし、果たして世界は幸せになっただろうか? 貧困、差別、無益な対立。少し外に目を向ければ、まだまだ解決されていない社会問題が山積みになっている。

これらを解決するために、今こそ起業家が必要ではないだろうか―?

そんな思いを形にしたのが、武蔵野大学のアントレプレナーシップ学部だ。2021年4月に新設される同学部は、実務家教員が中心となり、アントレプレナーシップを体系的かつ実践的に学ぶことができる、日本初の学部となる。

多くの人々にとって馴染みのない「アントレプレナーシップ」とは一体何なのか。学部が設立された背景にある思いとは―同学部学部長に就任予定の伊藤羊一氏に、話を伺った。

伊藤羊一氏

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長就任予定
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト/Yahoo! アカデミア 学長

1990年日本興業銀行入行、企業金融、企業再生支援などに従事後、2003年プラス株式会社に転じ、流通カンパニーにて物流再編、マーケティング、事業再編・再生を担当。2012年執行役員ヴァイスプレジデントとして、事業全般を統括。2015年4月ヤフー株式会社に転じ、企業内大学Yahoo!アカデミア学長として、次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授としてリーダーシップ系科目の教壇に立つほか、「考えて話す」トレーニングを行う。著書に「1分で話せ」「0秒で動け」「やりたいことなんて、なくていい。」「未来を創るプレゼン(共著)」がある。
武蔵野大学公式ホームページより引用)

 

「ことを成す」ために必要な3つの要素

―まず、「アントレプレナーシップ」とはどのようなものであるか、伊藤さんの解釈をお聞かせください。

「起業家精神」と直訳されることが多いのですが、それだけではよくわからないですよね。僕は、アントレプレナーシップとは、「ことを成す」という目標を達成するために必要な3つの要素であると考えています。

まずは、「自分の志と倫理観」。何が正しいのか、自分の中の価値観に照らし合わせ、本当に価値のあることを成す。そういうマインドセットのことですね。

次に、「失敗を恐れない気概」。新しいことを始めるとき、必ずうまくいかないことも起こります。でもそれは「失敗」ではなく、「これは違うと分かった」ということなんです。だから、ことを成すときはつまずくことを恐れずに、「うまくいかないことも一つの前進」と捉えて次の一歩を踏み出す気概が大切です。

最後に、「社会への価値提供」。自分がやりたいことだけをやりたいようにやるのではなく、それが社会に何らかの価値を生んでいるかどうかを常に自問する姿勢が必要だと思います。

私たちは、この3つの要素によりアントレプレナーシップが成り立つと定義しています。

「アントレプレナーシップを学ぶ」とは、「3つの要素を学ぶ」ということなのでしょうか?

そうですね。ただ、アントレプレナーシップは、学問領域として体系化されているわけではありませんし、本を読んだり人の話を聞いたりして身につくものでもない。この3つを育てるカリキュラムの実践を通して、「結果として身につくもの」と考えています。

アントレプレナーシップを身につけるために大切なことは、「振り返りと繰り返し」です。「こうじゃないか?」と思ったら、まずは仮説を立ててやってみる。そして振り返って、気づきを得て、気づきをもとにふたたび挑戦する。この「振り返りと繰り返し」を意識できるかどうかは、成長できる人とできない人の大きな違いであると考えます。

アントレプレナーシップ学部での4年間は、このサイクルを習慣化するための時間です。身につけるとは、寝る前に歯を磨くのと同じ、いわば習慣化のこと。歯を磨くのは当たり前のことであって、モチベーションは必要ないですよね(笑)。「振り返りと繰り返し」も、同じように身につけてほしいと思います。

単なる「授業」を超えたカリキュラム

―武蔵野大学は、なぜアントレプレナーシップ学部の設立しようと考えたのでしょうか? その背景をお聞かせください。

武蔵野大学は「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントを掲げています。この実現のために、事業を通して社会課題を解決する人を増やすべく、アントレプレナーシップ学部の構想が生まれました。

今は、インターネットを始めとしたあらゆるテクノロジーが発展し、とても便利な世の中になりました。しかし一方で、僕たちは本当に幸せになったと言えるでしょうか? 世界中では今も大小様々な社会課題が山積みになっている。たとえば、自殺率の上昇や東京一極集中など、国固有の問題もあれば、貧困や紛争など、規模が非常に大きな問題もあります。どれもすぐには解決できないものばかりです。

こうした社会課題に対して、これまで通り取り組んでいてもなかなか解決の糸口は見つからない。抜本的な解決を目指すためには、事業を通してこうした課題の解決に取り組む人が必要であると感じます。

僕はもともと、社会人を対象としたリーダーシップ教育を行っていましたが、「学生時代からこうした教育を受ける機会があったほうが良いのではないか」と感じることが多々ありました。そんな折に武蔵野大学の西本学長からお声がけいただき、お互いの思いが合致したため、学部長を務めさせていただくことになりました。

―だから実践性の高い授業が数多く用意されているのですね。他にもカリキュラムの特徴があれば、教えてください。

アントレプレナーシップ学部では。「教える人」「教わる人」という枠を超えて、教員と学生がともに学べる環境を目指しています。そのため、授業では、教員と学生がともに一メンバーとしてフラットにディスカッションする場面をたくさん設けるつもりです。

また、学生の皆さんには「学びの言語化」「自分の身に引き寄せて考えること」の経験をたくさん積んでもらうつもりです。これは人に、成長の機会となる気付きをもたらします。

たとえば、ある起業家の講演を漫然とインプットしても、何かを学んだとは言えない。その人の姿勢や考えから得られた学びを、まずは言葉にする。そして、その学びを自分に引き寄せて考える。「この人がターゲットにしていたのは中高生だけど、私がターゲットにしたいのはどんな人だろう?」というように。ここで初めで「気づき」が生まれるのです。この気づきをきっかけに、事業は始まります。

アントレプレナーシップ学部では、業界の第一線を担う人たちを招いた講演やディスカッションに参加する機会が数多くあります。多くの場合、人は「すごい人」の話を聞いただけで満足をしてしまいますが、アントレプレナーシップ学部の学生には、彼らの話から何をどう学ぶか、自分にどう生かすかを徹底的に考えて実践してほしいと思っています。

―カリキュラムのほか、「一年次は全員入寮」という制度も、日本の四年制大学では珍しいと感じます。どのような意図があるのでしょうか?

大きく3つあります。まず、社会や仲間とは何たるか、身を以て知るためです。何かを成そうとするとき、一人では絶対にできない。かならず、社会や仲間とのかかわりを持って事を進めることになります。その準備として、それらが何であるかを学ぶ場が必要だ、と考えています。

次に、さまざまな人と触れあうため。僕は個人的に、人生の豊かさとは、どんな人に出会ったかで決まると思っています。特に10代後半から20代の時期に、志を同じくしながらも、まったく異なる興味や考えや価値観を持つ人と一定の時間をともに過ごすことは、その人の人生にとって大きな意義があると考えたからです。

最後に、事を成そうとしたら、授業外の時間での取り組みも必要になるから。何かに本気で挑戦していると、授業という区切られた時間以外の、生活の時間も費やさざるを得なくなることがあるかもしれません。授業と私生活を切り離すのではなく、生活の中で授業の実践にどっぷり浸る―そんな経験が人生の一時期にあってもよいのではないかと思います。

こうした経験を学部の最初の一年で積むことで、その後の3年間の過ごし方が全く異なってくるはずです。そのためにも、「一年次は全員入寮」を決めました。

アントレプレナーシップ学部を起点に、日本中にネットワークを張りめぐらせたい

―アントレプレナーシップ学部は、どのような学生を求めていますか?

入学前から必ずしも社会問題への解決意識やビジネスプランを持っている必要はありません。もちろんそういった意識がある人も大歓迎ですが、どちらかというと、世の中に対して何か違和感や憤りを覚えていて、でもどうしたらいいか分からない、と感じている人が来てくれたら嬉しいなと思います。その熱量を、アントレプレナーシップ学部で十分に発散してほしい。

反対に、世の中を斜に構えて見て、「別にやりたいことなんてないし、考えることに興味もない」と思っている人には合わない学部だと思います。苛立ちやモヤモヤに対して「何とかしたい」という意気込みがある人はウェルカムです。

―今後10年、20年先を見据えたとき、アントレプレナーシップ学部をどのような場にしたいと考えていますか?

まずは、アントレプレナーシップを学問として確立させたいですね。現状、日本において、アントレプレナーシップに関する研究は蓄積が多くはありませんが、今後この国で事業家を増やすことを考えると、研究活動は不可欠であると考えます。

教育の実践を通して、日本のどこよりもアントレプレナーシップ教育とその実践のサンプルを確保し、学問としての体系を整えていくつもりです。それこそ、「振り返りと繰り返し」をしながら、ですね。この学部の志を末永く受け継いでいくためにも、これは非常に重要であると考えます。

―アントレプレナーシップ学部を卒業した学生たちに、どのようなことを期待しますか?

入学定員は、毎年60人。その60人の教育だけに力を入れても、社会全体にインパクトを与えるのはなかなかむずかしい。

だからこそ学生の皆さんには、それぞれがつながりを活かしながら、社会の幸せのために力を尽くしてほしいと思います。卒業生は毎年60人でも、60人が志を持って何らかことを成していれば、彼らに関わる人の数は何百人、何千人に拡がっていることでしょう。いえ、60人で何千人もの人を積極的に巻き込んでほしい、と思います。

初の卒業生が出る頃に、アントレプレナーシップ学部を起点として、社会を幸せにすることに関わる何千人もの人々のネットワークが日本全体に張り巡らされている、そんな状態になっていたら最高ですね。

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