総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう
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総合型選抜や学校推薦型選抜を複数校受験するにあたって、「高校から『出願は一校しか認められない』『調査書は一校分しか発行できない』と伝えられた」という人は少なくありません。
総合型選抜・学校推薦型選抜を併願することは、所属する高校(あるいは卒業校)の方針によって決まります。一方で、大学側が「併願を認めない」という方針を明確に打ち出しているケースは稀です。
本記事では、これらの入試における併願受験の可否について、各大学の回答をもとに解説します。続く「交渉編」では、高校側のルールと対立した際、どのように交渉をすべきか、具体的な手順をお伝えします。
交渉編:総合型選抜や学校推薦型選抜を併願するために―交渉に臨もう
併願は妨げられない場合がほとんど
私立大学18校中「他大学の受験を認めない」は1校のみ
洋々LABO編集部は、人気の高い首都圏の私立大学18校に対し、「貴学の総合型選抜や学校推薦型選抜を受験するにあたって、他大学を併願受験することは認められるか?」という聞き取り調査を行いました。その結果、「認めない」と答えたのはたった1校のみでした。
今回調査した18校のうち7割以上の大学は、出願要件に「本学を第一志望とし、合格後に入学を確約できること」と明示しています。その点について各大学にさらに詳しく聞き取りを行ったところ、「自校に合格した場合は、他大学に合格をしていても自校に入学してもらうことを想定しているが、併願校を受験すること自体は妨げない」と回答した大学がおよそ90%を占めました。
これらのことから、出願要件に「合格後は入学確約」と記載されていたとしても、他大学の併願受験自体を認めない大学は非常に少ないことが分かります。
後輩への影響は?
そもそも高校の校長先生の推薦状を必要とする学校推薦型選抜とは違って、総合型選抜は高校の推薦を必要としないものがほとんどです。そのため、複数の大学を併願し、選考や合格を辞退することがあったとしても、その受験生の高校に対して翌年以降ネガティブな影響が出ることは考えにくいでしょう。
一方学校推薦型選抜は、学校長による推薦を前提とし「合格後は入学確約」を掲げている入試がほとんどです。そのため合格後に入学を辞退すれば、翌年以降の進学実績に影響が出る可能性は考えられます。しかし「他大学を受験すること」自体は、大学と高校の関係性に影響しません。ただし校長推薦が必要であるという試験の性質上、学校推薦型選抜を2校以上併願することは難しいかもしれません。
聞き取り調査を行った大学の中には、「仮に受験生が他大学を受験したとしても、大学としてはそれをわざわざ確認はしない」「第二志望、第三志望という位置付けで受験するのであれば、(自校の学校推薦型選抜に出願をしていても)他大学の受験自体は認められる」と回答した大学も複数ありました。
出願一校限定ルールは「絶対」ではない
総合型選抜や学校推薦型選抜は大学によって出願要件がさまざまです。高校が全生徒の受験する入試をそれぞれ正しく把握することは難しいため、全生徒にとって最もリスクが低い選択をした結果として、「一校ルール」が設けられているのかもしれません。一方で、「万が一にも後輩に不利がないように」という高校側の配慮が、かえって受験生の進路選択の幅を狭めかねないことも事実です。
そこで、高校のルールと対立した場合は、以下の二つを試みてみましょう。
1.自分でできる限りの下準備をする
たとえば冒頭の聞き取り調査のように、大学の入試課に「併願受験は認められるか」と直接問い合わせることは非常に重要です。中には「募集要項に書いてある通りのことしか言えない」「自分で考えてほしい」と返す大学もあるかもしれませんが、もし併願受験について特別に明記されていなれば、「募集要項には『他大学の併願受験は不可』と書かれていない」とも解釈できます。
また校内において、併願受験に関するありとあらゆる情報を集めることも「下準備」のひとつです。
・どのような条件であれば併願受験が認められるのか
・かつて自分の高校から総合型選抜や学校推薦型選抜を受験しながら他大学を併願した先輩は一人もいなかったのか
・もしいたならば、そのときはなぜ認められたのか
・調査書発行の権限は誰が持つのか
など、手がかりとなりそうな情報は手当たり次第調べましょう。その際、担任教師だけでなく、進路指導担当や学年主任にも積極的にコンタクトをとると得られる情報が格段に増えるはずです。
2.とにかく交渉する
下準備を整えたら、まずは担任と交渉を開始します。もし担任との交渉で調査書の発行を認められなかった場合は、保護者を巻き込みつつ、より責任のある立場(学年主任、副校長、校長)へと交渉を持っていきましょう。詳しい手順についてはこちらの記事を参考にしてください。
交渉は対立を避け、高校と受験者の双方にとって良いかたちの受験を実現するための手段です。自分の受験を高校に快く応援してもらうことを最終ゴールとして目指し臨みましょう。
総合型選抜は、逃してはならない受験の機会
数年前まで総合型選抜や学校推薦型選抜は、「受かれば儲けもの」という位置付けでした。しかし近年、特に私立大学はこれらの入試による合格者を増やし、一般入試の合格者数を絞るようになりつつあります。2020年に行われた大学入試改革もこの流れに拍車をかけました。つまり、総合型選抜や学校推薦型選抜が一般選抜と並んで貴重な受験の機会へと変わりつつあるのです(詳しくはこちらの記事を参照)。
これらの受験の機会が制限されてしまうことは、選択の幅を大きく狭めてしまうことになりかねません。「ルールだから」と諦めるのではなく、交渉のためにできることを自ら探し、そのすべてをし尽くせば、必ず何か手がかりは得られるはずです。主体性と粘り強さを持って「自分の受験」を勝ち取りに行きましょう。
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