AO入試のリアルvol.3 SFC AO入試A方式Ⅱ期合格者の西村さん
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「AO入試のリアル」は、AO入試の合格者への直撃インタビュー企画。なぜAO入試を受けたのか?いつから準備を始めた?面接で聞かれたことは?など、AO入試のリアルな情報をお届けします。
今回のインタビュイーは、2016年度SFCAO入試A方式4月Ⅱ期合格者の西村さんです。
伊藤:インタビュイー募集にご応募くださりありがとうございます!総合政策学部2年の西村さんですね。本日はよろしくお願いしえます。
西村:よろしくお願いします。SNSで募集をかけてこうした機会が作れるのが、SFCらしいですね(笑)
プロフィール
出身:大阪府
高校:立命館宇治高校 IMコース
志望理由書テーマ:ファッションと和服
留学経験:学校のプログラムで1年間カナダへ留学
出願した大学:APU立命館アジア太平洋大学 国際経営学部、立教大学 国際経営学部、慶應義塾大学 総合政策学部AOⅡ期(全て合格)
伊藤:高校在学時から様々な活動をされていたと伺っています。今回はなぜインタビューに立候補をしてくださったのでしょうか?
西村:中高大の一貫校出身ながら、入試のときに出願した大学が多いことや、志望理由書のテーマが「ファッションと和服」というユニークなものであったことから、「面白い記事を書いていただけるかもしれない」考えたからです(笑)
伊藤:ありがとうございます(笑)
付属校に通いながら他大学を受験することや、併願校の志望理由書の書き方のコツは、多くの受験生にとっても不安要素のひとつですよね。こうした悩みを抱える受験生のヒントになれるよう、西村さんの受験生時代のお話をぜひざっくばらんに語っていただければと思います。
一貫校でありながらAO入試受験を決意
伊藤:西村さんは立命館大学への内部進学が可能な附属高校に通いながらも、他大学を複数受験していましたよね。そもそも、なぜAO入試の受験を決意したのですか?
西村:自分のやりたいことや学びたいことが、進学する予定だった大学でできることとマッチしていないと感じたからです。
さらに、立命館宇治高校 IMコースの元々のカリキュラムはそもそも一貫校であるからこそできる内容。一年間の留学とその後もオリジナルの全教科英語科目になっているため、日本の一般的な大学受験に対応していませんでした。そのため、一般受験をするには無理がありました。私のコースでは他の大学を受けるためにはAO入試しか選択肢がなかったのです。
伊藤:「内部進学をやめて受験」というのはかなり大きな決断かと思います。その決意に至った経緯をお聞かせください。
西村:私は「起業」と「国際系」「ファッション」に興味がありました。しかし、その両方を学べる環境はなかなか見つからなかったため、AO受験を考える前は、立命館大学の国際経営学部に進学しようと考えていました。
しかし、IMコースの特殊なカリキュラムを通して自分の興味関心の分野がより鮮明になったんです。そこから自身で調べを進めてSFCを知り、受験を決意しました。
伊藤:IMコースでのどのような学びを通してその気づきを得たのでしょうか?
西村:国際的な仕事に携わるために、英語を学びたかったので、ニュージーランド、オーストラリアの現地の高校へ1年間留学に行くプログラムは非常に実りの多いものでした。一緒に留学や夢を共にする仲間と先生が集まっていたことが、自分モチベーションアップにもつながりましたね。
また、global leadership studiesという授業では、起業とファッション関してアクションを起こし、地域活性化の取り組みという形でアウトプットできる環境が用意されていたことが非常に有意義でした。
ビジネスコンテストで手に入れたのは、優勝と志望校
西村:SFCの受験につながった高校時代の大きな経験の1つが、カナダへ1年間の留学です。高校のプログラムの一貫で、高校1年生の秋頃から希望者が留学することができます。
カナダに行ってみて、現地の人々が日本の和服文化に強い興味を示したことが非常に印象的でした。「実際に来て歩いてみたい」という人も多かった。しかし、着付けが難しい。和服というのは魅力的な衣服ですが現代の衣服とは利便性が異なります。その難しさにぶつかったとき、同時に日本ファッションのコアでもある和服への可能性を感じました。
伊藤:これが志望理由書で書いたテーマの最初の課題意識だったわけですね?
西村:そうです。元々ファッションやデザインに興味があったのですが、「和服」に興味をもったのはこれがきっかけです。その後、2つのビジネスコンテストに参加し、その両方で「和服の現代への更新」というテーマを掲げました。
西村さんが参加した2つのビジネスコンテスト
- 宇治市の地域活性化を考えるビジネスコンテストへの参加(高校のプログラム)
立命館宇治高校と宇治市によるオリジナルプログラム。学校の中で参加者を募り開催された。
- MIT Global Entrepreneurship Bootcamp(自主応募)
マサチューセッツ工科大学が監修・全面支援するグローバル・ユースプログラム。世界各地から高校生が一堂に会し、アントレプレナーシップやデザイン工学などを学ぶ機会がが提供されている。それぞれが自由テーマに沿って、チームごとにプレゼン発表の準備をおこなう。
伊藤:どちらも優勝されているとお聞きしました。素晴らしい成果を残されたのですね。
西村:ありがとうございます。どちらのビジネスコンテストでも、発表のテーマを「和服×ビジネス」としていました。日本人というアイデンティティがあるからこそ話せるテーマであったことと、和服というキーワードそのものが関心を集め、評価していただいただと思います。
また、宇治市でのコンテストではアイデア止まりではなく、「UJI COLLECTION」というファッションショーを他の高校生と協力して2回開催しました。後輩にもこの文化が受け継がれ、香港でもおこなったそうです。
伊藤:世界的に見ると、日本の伝統的な文化はやはり関心が高いようですね。これらのビジネスコンテストとSFCの受験はどのように繋がっているのですか?
西村:はい。MITのBootcampがSFCを知るきっかけとなりました。SFCはMITと同じような雰囲気の大学で、しかもファッションデザインに関する学術的な研究を深めてられている水野大二郎教授もいらっしゃいます。さらに、起業に関する実践的な授業が充実していて、在学時に起業する人も他の大学に比べたら圧倒的に多い。また、中学生から知っている友達ばかりの内部進学ではなく、全国から多様性に飛んでいる生徒たちが集まっているそんなところに惹かれ、SFCへの進学を真剣に考え始めました。
モチベーションを保つための「イメージ」
伊藤:しかし、内部進学をする友人と違う道を選んだことで、大変な思いをされたことはありませんでしたか?
西村:もちろん、両親からの反対もありましたし、これは最善の選択なのだろうかと何度も自問自答したこともありました。弱気になったときは、実際にSFCを訪れたときのことを思い出すようにしていました。
MITから日本に帰ってきてすぐに東京の大学のオープンキャンパスに行こうと思い、高校三年生の夏休みに誰もいないSFCに行ったんです。メディアセンター(※1)に3Dプリンターが置いてあったり、近未来的な建物であったり、時にはドローンを飛ばしている生徒もいたり……といった先進的な雰囲気に魅了されたことを思い出して、モチベーションを保っていました。
伊藤:自分の学びたい目的とマッチしただけでなく、SFCへの思い入れが強かったからこそ受験を乗り越えられたんですね。実際に志望校を見学しに行き、「どこに惹かれるのか」を自覚することが、モチベーションアップにもつながりえるのだと思います。
※1 メディアセンター:慶應の大学図書館
併願を可能にする方法・対策
伊藤:SFCへの思いは強いながらも、やはり多くの受験生が安全策として併願をすると思います。西村さんも併願を利用し、計3校の大学に合格されたんですよね。時間管理やそれぞれの大学に合わせた対策などが大変だったかと思いますが、志望理由書はどのように対策を立てましたか?
西村:私は志望理由書の軸が「和服とファッションの更新」だったので、それは変えることなく、学校の特性ごとに文脈を作るよう意識しました。
例えば、SFCに提出した志望理由書では、和服というテーマを核として、その課題解決のために起業を考えていることを全面に押し出しています。一方、APU(※2)や 立教大学を受ける際には、「和服は国際的に注目されており、ビジネスとして高いポテンシャルを秘めている」や「海外のアパレル産業での低賃金労の深刻化」といったように、自身の興味と国際経営や国際問題にアプローチし、自分の学びたいことが学部理念と一致していることをアピールする志望理由書を書きました。このように、テーマは同じでありながらどのような側面を見せるかということは、同一テーマで志望理由書を書く上でかならず意識すべきです。
※2 APU:立命館アジア太平洋大学
伊藤:自身の確たる軸を持った上で、その大学でできることや求められる学生像などが自身と重なっていると伝えることが重要なんですね。
西村:また、高校時代に自分がしたいと思うことをしておくことも大切です。特にSFCのAO入試では成績やTOEFLの点数よりも今までに自分のしていた活動が問われると思います。いかに自分が他の高校生とは違う経験をしてきたのかをアピールすることが大切です。例えば、提出資料にファッションや起業のみを記入するだけではなく、それと並行して行っていた国際支援活動やボランティア、模擬国連などもアピールしました。
今の視点からAO入試を振り返る
伊藤:AO入試を受けた時は様々な困難があったかと思いますが、今振り返ってみて、当時の経験をどう思いますか?
西村:もちろん、挑戦してよかったと思っています。そして、併願でさまざまな大学を受験したのも非常に実りの多い経験でした。志望理由を様々な側面から見直して文章化することで、自分のやりたいことにこんな見方があるのかと発見したこともあったので。今までの活動を振り返るだけでなく、「これから」を真剣に考えるいい機会でしたね。
伊藤:これまでの活動や人生を振り返って分析できたのは、AO入試を受けたからこそ得られた機会ですよね、今は大学で何をしているのでしょうか?
西村:今はSFCで水野大二郎研究会に所属しているのはもちろんのこと、土曜日と日曜日にESMOD(フランス発祥の服飾・ファッション専門の学校)に通っています。それから、インターン先ではファッションの川上であるテキスタイルについて学んでいます。また、SFCのサークルでは今まで受験期間にできなかったスポーツなどのサークルに参加したり、起業したい学生起業家を支援するKBCで幹部としてアクセラレータープログラムの運営を行っています。
伊藤:かなり充実した学生生活を過ごされているのですね。志望理由書で掲げたテーマや目標から離れていない活動をおこなえているということは、SFCへの進学という西村さんの選択は、本当に正しいものだったのですね。
本日はありがとうございました。
西村:ありがとうございました。