「大学の学び」に近い英語力を―英語4技能試験「TEAP」とは?【大学入試改革特集】
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2020年度大学入試改革に伴い、2019年より、受験生は高校3年生のあいだに英語の外部試験を受験することが必須となります。文部科学省は高校での教育に関する新たな学習指導要領で、これまで重きを置いていた「知識・技能」以外にも「論理的思考力や表現力」などを重視すると発表。それに伴い、これまでほとんど注目されてこなかったライティング力やスピーキング力を試験で測れるように入試制度を改革する運びとなったのです。
「一回の試験で4技能を測れるか」といった観点などから利用される外部試験の検討がなされ、計7種類の試験の採用が決定しました。(詳細はこちら)
そのなかのひとつであるTEAPは日本英語検定協会と上智大学が共同で開発した試験。英検などの有名どころと比べると、あまり聞き馴染みのない試験かもしれません。しかし、実はTEAPを受験に利用可能とする大学は増えつつあり、既に入試への導入を始めた大学も数多くあります。また、旺文社による調査では、主要な4校の大学でTEAPは英検の次に受験生の利用が多いようです。
引用元:https://eic.obunsha.co.jp/pdf/exam_info/2018/0508.pdf
本記事では、今後採用大学の増加が見込まれるTEAPがどのような試験であるかを社会的背景を交えて検討します。
処理能力勝負の時代は終わった―TEAPが求める英語力とは
TEAPは2014年より始まった新しい試験。そのため、英検やTOEICと比べ一般の認知度はまだまだ低いのが現状です。
そもそも、なぜTEAPは開発されたのでしょうか?公式ホームページには、TEAP実施の目的について以下のように記されています。
「大学教育レベルにふさわしい英語力」を測るうえで適切な設計となっており、テスト内容はすべて大学教育(留学も含む)で遭遇する場面を考慮して作成されております。難易度の目安としては、英検準2級〜準1級程度で、日本の高校3年生の英語を測定するのに最適なレベルとなっております。
引用元:https://www.eiken.or.jp/teap/merit/index.html
ここで述べられている通り、TEAPは「大学で学ぶ上で必要な英語力」を測ることを目的としているのがポイント。これは従来の英検やTOEICにはなかった視点です。海外留学などの際に英語力を証明するためのIELTSと近い方向性でありながら、日本での大学受験用にアレンジしたものとでも言えるでしょうか。また、TOEFLやIELTSなど、世界基準で用いられている統一的な試験と比べ、受験料は半額ほど。難易度もそれらよりは比較的易しくなっています。
このように、
1)これまで日本で普及していた英語試験よりもより学びの現場にフィットし
2)4技能を一度の試験で測れる
という2つの点にTEAPの特徴があります。
このような試験が開発されたのは、文部科学省の発表した新学習指導要領へのフィットを図るという理由に加え、現在の日本や世界の情勢に対応できる英語力を身につけるべきだ、という考えがあまねく広まり始めたからであると考えられます。
これまで、入学試験の多くは「いかに多くの単語や熟度を覚えられたか」「長文をいかに効率よく時間内に読めるか」といった「処理能力勝負」の側面を持ち合わせていました。しかし、そのような「知識を詰め込んで覚えるだけ」の勉強ではなく、「知識とトレーニングにより得られる技能を組み合わせて使いこなす力」が求められるようになりつつあります。
誰もが気軽にインターネットにアクセスできる環境が当たり前となった今、多くの情報は調べれば簡単に手に入れることができます。そのため、多くの知識を頭にストックできる処理能力ではなく、図や表から現象を読み取る力や、質の異なる情報同士を組み合わせる力、質問の意図を汲み取り相手に伝わりやすいように的確にまとめる力などが価値であると考えられるようになったのです。このような価値観の大きな転換を迎えている時代である、ということを認識すると、新学習指導要綱についてもより理解がしやすくなるでしょう。
英語の4技能が入試で求められるようになったのは、そのような社会的背景があるからなのです。
次回記事では、TEAP対策のためのトレーニングについてお伝えします。