【AO・推薦、落ちたらどうする?】挽回の秘訣は「確実に消化できる毎日の計画を立てること」
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【AO・推薦、落ちたらどうする?】シリーズとは
AO入試や総合型選抜などについて、「どうやって合格したのか」という情報は数多ありますが、「不合格だった人はその後どうしたのか」という情報はなかなか載っていません。【AO・推薦、落ちたらどうする?】シリーズでは、AO推薦入試や総合型選抜で不合格を経験した後、見事に一般試験で挽回した人の辿った道のりを紹介します。
今回インタビューを受けてくださったのは、慶應義塾大学文学部一年生(※2019年10月時点)のYさん。Yさんはコツコツ努力を積み重ね、慶應文学部の自主推薦入試を受験。一次選考を見事くぐり抜け、二次選考も手応えがあったものの、残念ながら不合格に終わります。しかし、そこからコツコツ努力で巻き返し、現役の一般受験で見事同学部に合格しました。
驚くべきセルフマネジメントで挽回を果たしたYさんの不合格からの合格体験記を紹介します。
Y.Iさん
慶應義塾大学文学部1年生(2019年10月時点)。音楽史の学べるところを志望し、同大学同学部の自主応募推薦入試を受験するも不合格。その後、一般入試で合格し、現在はオーケストラサークルに所属する傍ら、音楽史の勉強に励んでいる。 |
推薦と一般の両立、気持ちと現実のあいだで焦る日々
――本日はよろしくお願いします。まずは、Yさんが慶應文学部を志したきっかけや理由を教えてください。
よろしくお願いします。わたしは昔から音楽が好きで、大学では音楽について学びたいという思いが強く、また、歴史にも興味があったので、両方を学べるところを探していました。その中で慶應の文学部の美学美術史学専攻を見つけ、「ここなら自分のしたい勉強ができるのではないか」と思い、第一志望として考えるようになりました。
――初めから自主応募推薦入試を考えていたのですか?
いいえ。最初は一般受験をメインで考えていて、推薦入試の準備をしている間も、最低限の一般対策はしていました。「推薦はあくまでもチャンスを増やすため」と考えていましたが、推薦の準備を始めてからは、かなりそちらの方に比重を置くようになりました。
――推薦入試と一般入試、それぞれの対策方法を教えてください。
推薦入試の準備は、高校2年生の秋から始めました。洋々で小論文サポートを受けて文章力を養いつつ、学校の現代文や倫理の授業などで、自分の考えを繰り返し文章化するように努めました。
あと、この時期は本もたくさん読みましたね。出願書類は洋々と学校の両方で見てもらっていました。
一般入試の準備は、英語と世界史を塾で対策していました。
慶應文の一般入試の英語は、かなりの量の長文と記述問題で、問題数が少ないのが特徴です。そのため、文法や単語で内容を理解しようとするのではなく、ひとつながりの文章として理解できるように練習しました。
世界史は、出来事や年号を暗記するだけでなく、歴史全体の流れやそれぞれの事柄のつながりを意識して覚えるようにしましたね。一定の範囲を覚えたらそこを友達に口頭で説明するなど、なるべく記憶に定着させるように努力しました。
――ご自身で勉強方法をかなり明確に確立されていたんですね。
そうですね。得意や苦手は人それぞれなので、勉強法は自分に合ったものをひたすた模索する必要があると思います。私は通っていた塾の先生方にアドバイスを頂きながら自分なりの勉強方法にたどり着きました。
――推薦と一般の両立において、最も大変だったこと何でしたか?
焦るとどうしても目の前のことだけにとらわれてしまいがちになったことですね。夏休みに一般入試の過去問を問いたとき、全然できていなくて「もっと過去問に時間を割かなきゃマズイんじゃないか?」という気持ちでいっぱいになりました。試験が迫っている推薦入試の方に対策の時間を費やすべき時期だったので、気持ちと現実のあいだでバランスを取るのに苦労しました。
あとは、推薦と一般の両方の傾向に合わせて、同じ教科でも異なる角度から対策をしなければならなかったことです。推薦入試と一般入試は両方とも英作文が課されるのですが、それぞれの入試で必要な力が異なるため、両方の対策をするのに苦労しました。
推薦で落ちても、「一般入試のチャンスがまだある」
――推薦入試について伺います。Yさんは一般入試も意識して推薦の準備をしていたとのことですが、試験直前期から当日にかけて、どのような心持ちで試験に臨みましたか?
本番が近づくにつれ、「推薦が終わったら受験は終わり」と、推薦が受験生活の山場であるかのように感じていました。今思うと、気持ちがいっぱいいっぱいでそう錯覚してしまったんだと思います。
試験が終わった直後は、「書けた」という手応えを感じていました。「終わった!」という達成感と「受かるのではないか」という期待はありましたね。
――不合格の報せを受けたとき、どのような思いで結果と向き合いましたか?
落ち込む以前に「信じられない」という気持ちが先立ちました。自信があったので、「本当に自分が不合格なの?」という思いでいっぱいでした。少ししてやっと結果を受け入れられるようになってから、「あんなに自信があった推薦に落ちてしまったのに、推薦よりも自信が持てない一般入試で受かるのだろうか」と不安になりました。
しばらくは落ち込んだのですが、当時の友人たちの存在が大きかったです。私の不合格を自分のことのように悔しがってくれる子や、私の頑張りを認めてくれる子がいたおかげで励まされて、次第に「一般入試で受けられるチャンスがまだあってよかった」と気持ちを切り替えられるようになりました。
――気持ちの切り替えのために意識的におこなったことなどはありますか?
推薦の結果の翌日から、無理矢理でも机に向かうようにはしていましたね。落ち込んでいても勉強をやめるわけにはいかない。悔しさは時間が解決してくれるはずと割り切って、とにかく手を動かしていました。
そうしたら、推薦入試の準備を通して集中力が身についたのか、意外と勉強に身が入ることに気づいたんです。一般入試の勉強をしていると、先のことを考えるようになるので、自然と前向きになれて。焦りが推薦の結果の落ち込みをいつの間にか忘れさせてくれました。
過去問は2ヶ月先まで予定を立てる―毎日確実に消化できる計画を
――推薦の結果発表の後、改めて一般入試に向けた対策を始めるのは、かなりハードだったのではないでしょうか。
推薦に受からなかったら一般を受けるということは当初から決めていたので、夏休みから過去問に手をつけはじめるなど、絶対に間に合わないという状況だけは作らないよう心がけました。英語や世界史の塾は一般入試向けの塾に通い、一般を受ける前提で準備をしていました。推薦対策とのバランスを考え、一般の対策を一部軽くするなど調整はしていましたが、「この時期にこれをやるべき」と教えられたことは守るようにしましたね。
――限られた時間の中で対策をする上で、特に意識したことを教えてください。
12月から1月にかけての一般入試の直前期は、「◯月X日に何をやる」というスケジューリングをして、それに従って勉強していました。過去問はほぼ2ヶ月分、毎日解く部分を事前に決めていましたね。10年分の過去問を本番までに何周しようと考え、逆算した上で計画を立てました。
計画に沿って勉強すれば、本番までに何をどのくらいやればいいのか、どの程度のペースで勉強をすれば良いのかが体感的に把握できるので、焦って目の前のことだけで手一杯になってしまう、という事態を防げるからです。
たとえば、世界史の過去問を解いてみて、できなかった焦りから世界史ばかりに注力してしまうと、本番直前になって「実は英語も抜け漏れがあった」ということが発覚した場合、八方塞がりになってしまう。そうならないように、とにかく計画を立てて守ることを徹底しました。
あとは、時間を有効活用をするのも大切です。英語に関して言えば、英単語を塾から帰ってきたあとに1時間も2時間もやるのはもったいないので、通学時間や学校の休み時間にやって、まとまった時間は世界史の流れを覚えたり、英語の長文読解に使ったりしました。
――Yさんは普段から計画的に勉強を進める性格だったのでしょうか?
それが、実は正反対なんです(笑)。高校時代のテスト勉強のときは、実現できない計画を立ててしまって達成できなかったり、気分でその日の計画と内容を変えて勉強をして効率が落ちてしまったりということがしょっちゅうでした。しかし、その経験があったからこそ、一般入試では失敗しないように、確実に消化できる計画を立てようと思ったんです。
――推薦入試と一般入試を両方経験して、何が得られたと感じますか?
一つ言えるのは、確実に打たれ強くなったということでしょうか(笑)。言い換えればそれは、自分を客観視できるようになったということだと思います。推薦に不合格でも一般にすぐ切り替えられたのも、計画を立てて実行できたのも、客観視ができたから。そういう意味で、受験はとても良い経験だったと思います。
――最後に、今、推薦に落ちたときの自分に会えるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?
あのときは、自分の想像していた大学生活とまったく違った未来になってしまうのではないかという不安でいっぱいでしたが、「そんなに深刻に捉えることはない」と言いたいですね。結果として、確かに推薦には受かりませんでしたが、その先で経験したことは何も無駄ではありませんでした。「もっと人生を長い目で見て受験を乗り越えてほしい」と伝えたいです。
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