第6回:メディアの変遷と未来
第六回の更新となる授業紹介。今回はメディアの変遷と未来という授業について、紹介しようと思う。慶應義塾大学院にメディアデザイン研究科という学科が2008年に開設された事はまだ記憶に新しい。またこの学科の委員長はSFCでも教鞭をとる稲陰正彦教授であることは忘れてはならない。このように、慶應全体の流れとして「メディア」の分野に力を入れだしたことが伺い知れる。
このメディアの変遷と未来という授業だが、声から紙そして電子に発展してきたメディアの歴史を学ぶ。さらにインターネットを基盤としたネット上の掲示板、ブログ、メールなどの私たちの生活に密接に関係のある現代のメディアを中心に学び、リアルとネットの融合メディアやSF映画に登場するメディアなどの事例を題材に、さまざまな新しいメディアを考えることを目的としている。
各回ごとに、紙媒体、電子媒体、など広義でのメディアを広く網羅的に扱う導入的な授業である。しかし課題の内容は、「音のメディアやコミュニケーションの未来の姿を想像し、(1)どんな目的(why)で、(2)どんなサービス(what)が、(3)どのように使われる(how)のか、を提案するとともに、(4)そのサービスによって(あなたも含めて)ユーザはどんな価値を得るのか、を考察してください。」など特徴的で頭を悩ませるものが多い。SFCでは、勿論授業の履修状況にもよるが、期末時のテストが一つ二つしかないという学生も少なくない。授業の選び方によってはテストがひとつもない生徒もいる。しかし、その代わり他学部に比べ圧倒的にレポートや課題の数が多い。そのうえレポートの内容も、ただ調べれば答えの出てくるものは数少ない。例に挙げた「新しい○○を考えよ」のパターンはその代表格だ。このように、クリエイティブな発想をもって課題に取り組める学生には、このレポートもひとつの楽しみであるかもしれないが、そうでない生徒には苦痛で仕方がないようである。
この授業の形態は大教室で受ける講義形式。このような場合約300人近い学生が受講し、立ち見ならぬ立ち受講生が現れるケースもある。SFCでは少人数制の授業が多いが、このような大教室での授業も時間割に組み込む事が大学生活を満喫する知恵といえよう。