大学受験の総合型選抜(AO推薦入試)や学校推薦型選抜において最も多く課されるのは志望理由書ですが、志望理由書とは別に、あるいは志望理由書の代わりに自己推薦書を課す入試もあります。
自己推薦書とは?
基本的には文字通り「自己」を「推薦」するための書類ですが入試によってその位置づけは変わってきます。たとえば上智大学の公募制推薦入試においては志望理由書の提出がないため、自己推薦書を志望理由書的な位置づけで使うことがあります。また慶應義塾大学法学部のFIT入試のように志望理由書に加えて自己推薦書が課される場合にはこれまでの活動や実績のアピールを中心に記述することもあります。文章で書かせるもの、絵や図を使ってよいもの、等、形式も入試によって様々で、自己推薦書とはこういうものだ、と一概に言うのは難しくなっています。
自己推薦書の書き方(志望理由書がない場合)
まずは志望理由書の提出がない場合の自己推薦書の書き方について紹介します。たとえば上智の公募推薦においては前述のように志望理由書が出願書類に含まれていない一方で、全学部で自己推薦書の提出が求められます。上智公募推薦の募集要項には自己推薦書について以下のような記述があります。
「志望動機」「学力」「学業成績以外の卓越した能力」「課外活動・社会活動の実績」「特技」等を記述し、自己を推薦する内容であるもの
ですので志望理由も含めてかなり幅広く自分を推薦する内容を記述することができます。所定の書類が以下のような形式で、A4 1ページ分に収める必要があり、書ける字数は800~1000字程度とそこまで多くありません(2024年度以降の書式では1500字以上書けます)。このような限定された書類の中でどのように自己を推薦していくのがよいでしょうか。
まず自己推薦書以外に提出する他の書類がある場合は、その書類に書く内容との棲み分けが大事になってきます。上智公募推薦の場合は、学部学科ごとにレポート課題の提出が求められており、自己推薦書の内容がレポート課題で書く内容とかぶり過ぎないようにすることが必要になってきます。学科によってはレポート課題で志望理由を書かせる場合もあり、その場合は自己推薦書で志望理由以外のこと、たとえばこれまで頑張ってきた活動のアピール等、を中心に書けるとよいかと思います。
他の書類で志望理由書的な要素がない場合、自己推薦書においてまずは志望理由を書くことを検討したいです。志望理由はなぜその大学学部に出願しようとしているのかということで、今までのこととこれからのことを一貫性を保ちながら書けると説得力が高まります。たとえば以下のような構成があり得ると思います。
今まで~に力をいれて頑張ってきた
↓
その活動を経て今は~に関心を抱いている
↓
そして将来は~を実現したいと考えている
↓
そのために貴学貴学部に進んで~を学びたい
志望理由書ではなく、自己推薦書なので、結びは「以上より貴学貴学部を志望する」というよりも「以上より貴学貴学部の求める学生像に適合すると考え自己を推薦する」というような感じでもよいかもしれません。
慶應義塾大学文学部の自主応募制推薦入試においても志望理由書は求められておらず自己推薦書の提出が必要になります。慶應文学部自主応募推薦の自己推薦書は指定用紙に以下のように2つの質問が記載されています。
1問目で高校時代に頑張ってきたこと、2問目で志望理由と大学での学び、将来のことを書く必要があるので、両方に回答すると結局、一般的な志望理由書に書くことに近い内容になるかと思います。
自己推薦書の書き方(志望理由書がある場合)
志望理由書の提出が必須で、それに加えて自己推薦書の提出が求められる場合、当然ながら自己推薦書に書くべき内容は志望理由書と書き分ける必要があります。一般的な志望理由書においては「過去→現在→大学での学び→将来」の流れを意識して書くことが多いですが、志望理由書と自己推薦書を両方提出する場合、そのうちの「過去」の部分を自己推薦書に手厚く書き、現在から将来にかけての部分を志望理由書で書けるとバランスがよいかと思います。慶應義塾大学法学部FIT入試A方式においては志望理由書と自己推薦書の両方が求められますが、自己推薦書は活動報告書に近い位置づけになっています。
慶應法学部FIT入試 自己推薦書〔Ⅰ〕
これまでの活動について何年何月にどのような活動をしたかを記入します。資料を添付することも可能です。
慶應法学部FIT入試 自己推薦書〔Ⅱ〕
スペースの枠内で自由に表現することが可能でパワーポイント等で作成したものを貼り付けることもできます。
このようなケースでは自己推薦書においてこれまでのことをできる限りアピールして、志望理由書ではそれを前提として「これからのこと」を書いていけるとよいかと思います。
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