第101回:地球環境技術論(その7)

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 今回は、最終課題について。
最終課題は、「地球温暖化問題の解決法を創案しなさい」というもの。

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 現代社会は、「車社会」と呼ばれる。日本では1964年の東京オリンピックの直後から「モータリゼーション」が進んでいった。道路特定財源制度などを使った高速道路の拡張や鋪装道路の増加等の道路整備、一般大衆にも購入可能な価格の大衆車の出現、オイルショック後の自動車燃料となる石油低価格化などによって、自動車が利用しやすい環境になったことが原因である。
 しかし多くの人々が感じている通り、この車社会が地球環境問題(特に温暖化、大気汚染、騒音など)の大きな原因のひとつとなっていることに、疑いの余地はない。自動車の単位輸送量当たりの二酸化炭素排出量は、鉄道や飛行機のそれよりも格段に多い。工場での排出は規制が行われ改善が進んだが、自動車排気ガス対策は進んでいるとはいえず、個々の車の燃費は向上しているとはいえ利用の増加に到底追い付けるものではなく、二酸化炭素の排出量は増加を続けている。

 (中略)

 車は燃費が悪い。エコカーや電気自動車の開発はすでに行われているが、まだ一般に広まるには時間がかかる。それ以外の対策として、「原動機付自転車(以下:原付)」の良さを改めてアピールし、法律を整備することによって利用者を増やす。

 法律整備の具体案としては、まず「二人乗りを合法化」する。通常のバイクは二人乗りが可能なのに、なぜ原付は禁止されているのか。法定速度を守れば、危険性にはそれほど大きな差はない。
 私を含め、普段原付に乗っているが自動車が欲しくなる大きな理由としては、「雨・風邪に濡れる」「誰かを乗せてあげることができない」という2点が挙げられる。逆に言えば、これ以外の点では原付の方がメリットは多い。燃費や維持費が安いので経済的にも負担が少ないし、駐車場代も駐輪場があればかからない。小回りが利くので、細い道でも走れる。
 余談だが、台湾では、原付の利用者数が非常に多い。二人乗りも合法で、若者たちの間では「原付デート」「原付合コン」というものも流行しているらしい。自動車で「相乗り」を推奨するくらいなら、むしろ原付で「二人乗り」をする方がエコな気がする。もちろん、大人数でどこかに出かけるなどの場合は話が別である。だが一人で車を利用している人(たとえば車通勤している人たち)や、デートで車を使っている人たちを原付利用者に変えることができれば、それだけでかなりの「脱・車社会」になるはずである。

(以下省略)

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独創的なアイディアが求められていると考え、かなり自由な発想をしてみた。実現可能性としては低いのかもしれないが、たまにはそうした殻を破り大胆に考えてみるのも、新鮮で面白い。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅