第104回:ネットワーク社会の構築(その3)
今回は、「ネットワークは誰がどうやって支えていくのか」について。
総務省のデータによると、インターネットの利用者数は平成9年末で約1,155万人であったのに対し、平成20年末には約9,091万人にまで増えている。人口普及率に換算すると、9.2%から75.3%へ、8倍以上に急増しているのだ。当然のことながら、ダウンロード数もアップロード数も一気に増え、一般ユーザー一人当たりの利用時間・ページビューも同様に増えている。
結果何が起きるかというと、ネット回線上が混雑しサクサク使うことができなくなる。これに拍車をかけたのが、インターネット利用における「定額料金制」だ。ユーザーサイドからすれば、どれだけ使いまくっても一定額で使い放題なので、情報の受発信が活発化する。しかし一方でユーザーが多くなり、情報受発信が「鈍化」するのである。これは通信事業者にとっても言える。加入者獲得の誘因となり、また課金コストも節約できるというメリットがあるが、低額な料金ではもとが取れない可能性もある。唯一デメリットがないのはコンテンツ事業者かもしれない。ユーザー数の増加は広告媒体としての価値を向上させる。
この傾向に歯止めをかけるためには、主に二つの方法が考えられる。ひとつは、利用者料金を見直すという方法。少数のヘビーユーザーが大量に混雑を発生させていることから、このユーザー層に何か対策を施すことによって、混雑を緩和させられるかもしれない。もうひとつは、コンテンツ提供事業者から料金を徴収するという方法。だがそうするとインターネットならではの魅力を損なうことになるので、細心の注意を払う必要がある。
ただでさえ利害者関係が複雑なネットワーク社会。利用の公平性を保つことも考慮すると、問題解決はなかなか難しそうだ。