第105回:マーケティング戦略(その1)

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 「マーケティング」の概念は、過去30年の間に産業社会と消費生活の変貌を反映して大きく変遷してきた。かつては営業や販売に関わる企業活動と考えられていたが、今日ではその活動主体、目的、提供物(商品、サービスなど)、対象範囲の違いに応じて、実に多元的かつ多様なものとなっている。

 この講義では、 競争的なビジネス環境において、 プロダクトやサービスを市場に導入することから生じる諸問題とその解決方法についての理解を得ることを目的とする。統合的マーケティングの視点から、 意思決定のプロセス、 競争を構成する諸要素、 意思決定分析に用いられる技術について、 多くの事例を用いて実践的に検討する。こうした作業を通じて、 マーケティング計画、 戦略、 およびアクション・プログラムを策定、 評価するための技能の修得をめざす。

 この科目においては、マーケティングに関する諸問題を、多くの異なった観点から扱う。全体としての目標は、今日の消費社会における顧客志向についての見通しのよい視点を獲得することである。具体的には、(1)様々な種類のプロダクト(商品、サービス、イベント、アイデア)について、(2)焦点の置き方(意思決定、経験)の異なるいくつかのパースペクティブから、(3)研究方法の違い(新実証主義的、解釈学的)および(4)様々な研究目的(経営実践、知識探求)の違いを対比させながら論じてゆくことにしたい。いずれかの焦点、概念、方法、目的を強調するのではなく、この分野全体を広く概観できるよう配慮する。(以上シラバスより引用)

 私たちの日常生活の中には、実に多くの「マーケティング戦略」が関わっている。テレビCMや町中のポスターなどの宣伝媒体はもちろん、一連の商品シリーズ、ブランドなど、ありとあらゆる場面で「戦略」が存在し、私たち消費者は知らず知らずのうちにそのレールの上に乗っているのである。

 この授業では実在する企業や商品ブランドが数多く取り上げられる。親しみのある商品だからこそ、その裏話にも自然と聞き入ってしまう。またゲストスピーカーとして実際の企業のマーケティング担当者が招かれ、ブランド展開などについてリアルなお話を伺うことができる。

 次回以降、具体的な授業内容について紹介しよう。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅