第107回:マーケティング戦略(その3)

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今回は、「ブランド戦略」について。

まず、ブランドとはなにか。米国マーケティング協会によると、「ある売り手の財やサービスを他の売り手のそれとは異なるものとして識別するための名前、用語、デザイン、シンボル、およびその特徴」と定義されている。消費者にとっては、ブランドによって商品探索時のコストが削減したり、評判が確信度や満足度を高めたりといったメリットがある。

ブランドの価値は、想像以上に大きなものだ。たとえば、コカコーラは企業価値の59%がブランドによるものである。同様に、IBMでは28%、SONYでは49%。そしてナイキに至っては77%という高い割合を占めている。ブランドの価値を向上・存続させることは、企業の価値そのものに大きく影響するのである。

ブランド論の変遷としては、1985年頃デビッド・アーカーによって「ブランド・エクイティ論」というものが提唱された。ブランド・エクイティとは、その名前やシンボルと結びついたブランドの資産と負債の集合のことで、ブランド認知や知覚品質などの要素から構成される。ブランド認知が高ければ潜在的購買者が増えるし、知覚品質を高めることで競合製品ブランドとの差別化やブランド拡張を図ることができるのである。

1996年頃からは、より統合的な「ブランドアイデンティティ」という考え方が一般的になってきた。製品としてのブランド、組織としてのブランド、シンボルとしてのブランドなど多角的に捉え、顧客・ブランド間の関係性の維持強化などにも重点を置く。

授業内では、ポジショニングマップを用いた実在企業の分析も行われた。通常ブランドは月日が経つほど「親しみ」が湧いて来るものだが、Googleのように「勢い」が増していく企業もある。また企業だけでなく大学のポジショニングも行い、それぞれの大学の個性を垣間見ることができた。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅