第109回:マーケティング戦略(その5)

未分類

今回は、「消費者ニーズに基づくマーケティングの重要性」について。野村総合研究所のコンサルティング部門の方が、ゲストスピーカーとして招かれ講義が行われた。

一般的なマーケティングプロセスとして、まず環境分析がある。ここでは「3C」という言葉がよく用いられ、「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合(Competitor)」について分析を行う。そこからニーズの把握や市場機会の発見、セグメンテーション(市場の細分化)、ターゲティング(標的市場の選定)、ポジショニングと進んでいき、最後にマーケティングミックス(4P: Product, Place, Price, Promotion)へと行き着く。

講義では、「日本人の消費スタイルによるセグメンテーション」について詳しく解説された。

日本人には、値段に対する意識(高くてもよいor安さ重視)と、質に対する意識(こだわりありorなし)の掛け合わせにより、4つの消費スタイルが存在する。

・ プレミアム消費(高い×こだわり有):自分が気に入った付加価値には対価を支払う
・ 利便性消費(高い×こだわり無):安さよりも利便性を重視
・ 徹底探索消費(安い×こだわり有):多くの情報を収集し、お気に入りを安く買う
・ 安さ納得消費(安い×こだわり無):製品にこだわりはなく、安ければ良い

ビールに例えるなら、プレミアム消費は「プレミアムモルツ」で、安さ納得消費が「発泡酒」。利便性消費は「コンビニ」で買うのに対し、徹底探索消費は「酒屋」といったところだろう。

日本人の3分の1は、利便性消費であると言われている。極端に言ってしまえば、モノを購入したりサービスを受けたりする際に、「何も考えていない」のだ。コンビニのATMでお金をおろしたり、Amazonで推奨されている本をつい買ってしまったり、自覚していない利便性消費も少なくない。

ちなみに、中国人は一般的に徹底探索消費なのだとか。同じ商品でも店によって価格が大きく異なったり、偽物があったりするため、自然と調べまわる癖がついているらしい。なんだか妙に納得してしまった。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅