第116回:国際法(その1)

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 「国際社会」「グローバル化」などと言われている中で、さまざまな活動につきまとうのが、法律である。この授業では、国際法の体系と基礎となっている考え方について学ぶことを通じて、国際関係の問題を見る視点を養う。

 主要な項目としては、

・国際法の法源:国際法の存在形式と現代的な展開について学ぶ。

・国際法の主体:国際法を作り、適用し、また、国際法により直接に責任を問われる「主体」(アクター)の変遷とそのもたらす意義について学ぶ。

・国家の国際的責任:国家はいかなる場合に国際的責任を負うのか、またそれをいかに解除するのかについて歴史的観点も含めて学ぶ。

・国家承認と国家承継:新しく国が生まれたとき、国際社会はどのようにその国を迎え入れるのか、また国家が合併したり分裂したりした場合の国際法上の権利義務の引き継ぎ規則の概要を検討する。

・領域的管轄権:国際法は領域国家間の管轄権調整原理という側面がある。陸、空、河川、南極、海洋、宇宙のさまざまな領域の特色について学ぶ。

・管轄権行使の原則:国家主権行使の根拠となる紐帯にはどのようなものがあるか。領域と国籍が中心である。その組み合わせと国際司法協力について学ぶ。

海洋法:通航、漁業、非生物資源獲得、海洋汚染防止などさまざまな側面から国連海洋法条約が作り上げた制度を考える。

・環境と開発:sustainabilityや将来の世代への責任は国際法の重要な課題となった。相反することもある2つの価値を包含し調整しようとする国際法の生成過程を検討する。

・安全保障の国際法:近代国際法は戦争法から始まった。戦争における法、戦争を開始する適法な条件、戦争を抑止するための国際法規則などについて学ぶ。

・21世紀の国際法:これからの国際法はどのような方向に進んで行くと考えられるか、最近の事例を通して考える。

(以上シラバスより)

国際法の歴史的起源から、現代の主要な問題に対するケース事例まで、幅広く扱われる。
次回以降、具体的な授業内容を紹介しよう。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅