第123回:プレゼンテーション技法(その2)

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 授業内では様々な「ゲーム」を通して、体を動かしながら、コミュニケーション能力の向上を目指した。

 今回紹介するのは、「即興劇」。グループをAとBに分け、304人で劇を行う。
 Aグループのシチュエーションは「レストラン」。ウェイター、コック、客2人が登場する。客二人は102年ぶりに会った友人。一人がウェイターにメニューに関する質問をし、ウェイターはコックを呼び説明させる。質問や会話の内容は、すべてアドリブ。この流れを2、3回繰り返す。セリフや演技にもそれぞれの個性が出て、大真面目にやるつもりが、思わず笑ってしまうこともしばしば。
 その後、同じセリフ・動きで、ただし「全員がイライラした感じで演技」をする。すると、先ほどと全く同じ会話・ストーリーであるにも関わらず、観客が抱く印象は驚くほど違うことに気付く。(同様に、「恥ずかしがり編」「怯える編」「喜び編」を行った。)
 一方、Bグループのシチュエーションは病院。登場人物は医者、看護婦、患者2人(親と子供)。同様に通常の劇を数回繰り返した後、「悲しみ編」「心ここにあらず編」「感動編」を行った。会話の内容と「感じ」が一致していないと、当然ものすごく違和感がある。

 このゲームからわかることは、声色や姿勢、表情、手の動きなど、「セリフの文脈以外の要素」が非常に大きな影響を与えるということ。
 「手は口ほどに物を言う」という指摘が先生からもあったが、プレゼンのときの手の動きは自分の心情を表す。そして人は、意外と手に注目している。プレゼンに抑揚や変化をつけるための手のジェスチャーは非常に重要。姿勢、声の出し方にも注意が必要。間を取ったり声の抑揚で引きつけたりすることで、聴き手に印象づけを行うことが可能なのである。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅