第127回:近代思想の世界(その2)

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 今回は、「古代ギリシャ思想」について。

 古代ギリシャというと、高校のとき、世界史の教科書の一番最初くらいに出て来た覚えがある(個人的に、これくらいの時代が一番好きだった。)「民主主義」や「市民」など、現代でもよく用いられている政治思想用語の原点になっている。

 まず特徴的なのが、「ポリス(都市国家)」。人口は数千から数万、多くても数十万人。(しかしアリストテレスによると、領土は見渡せる程度、人口は全員が顔見知りになれる程度が理想とされている)。同時に「法」や「政治」の観念も生まれた。全員統治が「民主制」、代表者統治が「貴族制」「寡頭制」、一人が統治するのが「王制」「僭主制」である。

 思想の面では、「ソフィスト」の登場。ソフィストとは、弁論術の家庭教師として「詭弁」を発達させた者たちのこと。(結果的に、ソフィストの存在が民会をぶち壊すことに…)。これに反撃したのが、アリストテレスやプラトンである。

 プラトンはアテナイ有数の名家の生まれで、法の支配よりも善のイデアを体現した「哲人王」による支配を説いた。理想を掲げる急進主義で、世襲や男女差も否定。

 それに対しアリストテレスは、もともとアテナイ市民ではなく植民地の出身で、アレキサンダー大王の家庭教師も務めた。「現実」「理想」の二元論を否定し、「変化」「運動」を導入。「勇気は、臆病と無謀の間にある」といった中庸のものを選択することにこそポリスの意義があると説き、人間は政治的動物(群れて生活するもの)であるとした。

 簡単にまとめると、プラトンは「一気に革命しようぜ!」派、アリストテレスは「少しずつ改良しようぜ!」派、ということになるらしい。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅