第138回:経営統計データベース(その4)

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今回は、「最終課題」について。
最終課題では、業種フラグやTOPIXサブインデックスフラグを用いて、自由に企業集団を作成して計算を行い、その分析結果と結果に対する考察を述べた。

私は、日本国内において携帯電話事業を行っている「KDDI」「NTTドコモ」「ソフトバンク」の3社について、経営分析および比較を行った。近年では各社間の競争が激化しており、特にスマートフォンが登場したことによって、さらに熾烈な争いが予想される。料金や端末などによる差別化だけでなく、経営の見直しなどの企業努力も求められている。ここでは本授業で習った通り、経営成績の良否をはかる指標として「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」の大きく4つに分類し、さらにそれぞれを小項目に分け、分析を行った。「生産性」の分析の際、独自の発想・手法として、各社の従業員数から一人当たりの売上高および利益を算出してみたので、ここではそれを取り上げる。

従業員数だが、当初は単独での人数を使用しようと考えていた所、ソフトバンクは単独の場合144人(2011年現在)となっていた。理由を推測すると、ソフトバンクはいくつもの事業会社からなる「ソフトバンク・グループ」として事業を行っているためであると考えられる。144人では比較することができないため、3社とも連結での従業員数を用いた。

一人当たりの売上高および利益を見ると、ソフトバンクが完敗している。端末の契約数ではiPhoneのヒットもあり大成功を収めているが、それが利益に繋がっていない。一方で、スマートフォンに出遅れたNTTドコモは生産性が高い。従業員数は3社の中で最多であることから、利益の大きさがわかる。

端末や料金プランによって多くのユーザーを引きつけても、それが利益に直結するとは限らない。世の中で持たれている市場シェアのイメージとは、相反する結果となっている。

以上が、素人なりに導き出した私の考察である。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅