第139回:知識産業マネジメント(その1)

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形のない知識の生産、伝達を、サービスとして適切に管理することによって顧客に価値をもたらし、それに対して対価を得てビジネスの対象とする企業・組織群を知識産業といいますが、日本にはじめてシンクタンクという知識産業が生まれてからまだ四十数年しかたっていません。経営コンサルティングや事業戦略コンサルティングという業態も、日本ではまだ三十年に満たない若い産業です。また、企業によるコンピュータ、ネットワークの高度な利用を支援する情報サービス産業の、上流部門を占めるシステムコンサルティングも知識産業の典型ですが、これも数十年の歴史しかもっておりません。
一方で、知識の流通をめぐる環境は、1990年代のインターネットの登場により激変しましたが、それでも知識産業は、その形態を変えながら、ますます隆盛を極めております。また、企業の活動形態もこの間急速に変化し、モノ作りをする製造業の企業活動も、その活動の大半は、知識サービスとして、形のない知識を価値に変換するものとなっています。
知識産業でCEOやCTOを目指すベンチャー志向の受講者にとってだけでなく、将来、実際に知識産業にたずさわろうとしている方や、企業、官庁等で知識生産の当事者となる受講者にとっても、常にマネジメントというレイヤーから知識産業の現場を鳥瞰できることが重要と考えるからです。
(以上、シラバスより)

この講義を担当する教授は、「野村総合研究所」という日本のシンクタンクに草創期から参画し、コンサルティング・情報サービス産業が誕生し成長するプロセスを、コンサルタント・管理者・経営者として見てきた方。第一線で活躍されてきた経験から語られる言葉には、説得力がある。

知識産業の誕生から、経営コンサルティングとシンクタンクの違い、さらには知識サービスの具体的な「価格」まで。非常に興味深い授業だ。

次回、具体的な授業内容を紹介する。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅