第22回:言語コミュニケーション論

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  会話が生活に溢れている。全く意味も内容もない、とりとめのない会話も多く見受けられる。私たちにとってそれは特に注目の必要もない、なんでもないこと。だからだろうか、「会話」という行為について深く考えたことがない。会話の仕組みを見たことがない。ものすごく精密で難しい機械でも、分解すれば仕組みを知ることができる。しかし会話はそういう風に一筋縄ではいかない。自分ひとりの力では分解のしようがない。例え自分なりに分解し、解釈したとしても、それは自己満足に留まってしまう危険性がある。だからこそ、講義を通して「会話」を分解してみよう。

  〈言語コミュニケーション論〉は「会話」考察の入門として設置された講義である。この講義では、「コミュニケーション」「コトバ」「意味」の3つのコンセプトを念頭に、言語コミュニケーションの仕組みをひとつずつ分解していく。「会話」のセオリーを考察することはもちろん、応用的な側面にも触れる。応用領域としては、アイディアの創造、分かり合いの可能性、異文化理解、外国語教育が含まれる。

  この講義ではほぼ毎回、3000字程度のリアクションペーパーの提出が課される。また最終課題では5,000字~10,000字で考察をまとめる。ややハードなワークロードが課せられるが、私たちの社会関係はやりとりなくしては成り立たない。会話を通して、人は社会との関係を築き続けている。それを理解するには十分な課題であるかもしれない。

  会話が成立するということはどういうことだろうか。「私」と「あなた」の関係をコトバを通して考察するということは、論理的な思考を要し、なかなか難しいテーマではあるが、時間と労力をかけて学ぶだけの価値がある。

慶応義塾大学SFC 環境情報学部1年 水谷晃毅