第41回:総合政策学の創造

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 毎週火曜1限、たくさんの1年生(そして少しの2・3年生)が、大型スクリーンを設けた大講義教室θ館に集まる。そこで行われるのはSFCにおける数少ない必修授業のうちのひとつ「総合政策学の創造」である。 この授業は近年設置されたばかりの科目であるため、まだそれほどの歴史を持たない。そのため、教員は常に学生と共に模索をしながら、新しくより良い授業の在り方を形成し続けている。 SFCのテーマである「問題発見・問題解決」を行い続ける授業なのである。

 それではシラバスをもとにこの授業の内容に触れていこう。 総合政策学は、時代の問題を発見・解決するための力を実践的に身につけていくための新しい方法論である。この授業では3つの目標がある。 以下、シラバスより引用。

 (1)本塾の創立者福沢諭吉が、青年時代大阪に出、緒方洪庵の「適塾」で学んだ、その学習・教育・研究体験を振り返り、福沢がこの体験を踏まえ1858年に慶應義塾を開いた思想、いわば総合政策学の原点を探る。

 (2)福沢の思想を受け継いだ人々が、慶應義塾創立から約130年後、どのようにして新しいキャンパスであるSFCと双子の学部創設を実現させたか。総合政策学という、学問への新しい取り組み方についての構想はどのようにして誕生し、それを実現するためにどんな工夫がなされたのか。福沢が唱えた「実学」や「半学半教」といった理念を、現在の視点で見直し実践する、「未来からの留学生」による「自我作古」の試みが始まった経緯を、見直す。

 (3)開設からまもなく20周年を迎えるSFCで、いまどんな教育と研究がなされているのか。SFCの教員や研究者、あるいは研究会の学生が、いかにフィールドワークなどの現場体験を通じて「実践知」に迫り、最新情報ネットワークや分析・解析ツールを使いこなし、異分野間の研究融合を実現しているか。慶應義塾そのものの「先導者」たらんとしているSFCのさらなる未来について、夢を共有する。

 以上の3点のうち(1)については毎週の課題提出が課せられる。 福沢諭吉著「学問のすすめ」を毎週1章ずつ読み、共感した部分を400程度手書きで指定の用紙に引用し提出するというものである。この課題の持つ意味、そして手描きである必要性については毎年学部長と学生との間で議論・意見交換がなされる。既にこの時点で問題発見・解決のための入り口は設けられた。あなたはこの課題にどのような問題発見・解決をするだろうか。

 次回は授業内での実践プログラム「政策コーカス」について紹介しよう。

                 慶應義塾大学SFC 環境情報学部2年 水谷晃毅