第50回:デザイン言語(その1)

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 今回から数回に渡って、SFCの名物授業の一つである「デザイン言語」について紹介していこうと思う。すでに記事で少し触れられているが、具体的な授業内容等も含め、改めてより詳しく紹介したい。

 まずはシラバスより。

 『トップクリエイター達は、それぞれに作品は個性的だが、デザイン言語のサンプリング(情報収集)・カットアップ(整理引用)・リミックス(再編集)という情報処理作業は、ほぼ共通したプロセスに分けて説明できる。つまり、デザインは天才がある日ひらめいて素晴らしい作品を作るなどというのは一種の思いこみで、創造力は的確で丹念なプロセスを持つコンセプトワークによって具現化される。本講義はさまざまな分野のクリエイターをゲストに招いて、デザイン言語の引用や収集、編集を通じていかに新しい創造物が生まれていくかということを、クリエイティブワークから実感してもらう講義である。デザイン言語系科目に興味のある学生は最初に履修するのが望ましい。』

 これは本当にその通りだと思う。実際、私たち一般人は作品や製作過程を見ることはあっても、「アイディア」の段階を見ることは少ない。「クリエイター」という言葉からも、何となく感性やセンスと言った、先天的なものが必要に思えてしまう。もちろんそういったセンスが占める部分もあるだろうが、それを活かすも殺すも、「情報処理作業」次第なのである。トップクリエイターと呼ばれる人たちは、皆この能力に秀でている。

 講義の中では、写真や映像によって講師の方々の実際の作品を見るとともに、そのアイディアのきっかけや製作過程に関するエピソード等も伺うことができる。誰かに依頼されて作ったものもあれば、ふと思いつきから作ったものもある。タイムリーなものもあれば、未公開のものもある。一人のクリエイターの作品と言っても、それぞれ全く違った趣になっていたりするのだから、面白い。授業で使うパワーポイントひとつ取ってみても、さすがクリエイター。見るものを虜にする工夫が随所に施され、私たち学生の心を掴んで離さない。どおりで履修者以外の学生までわざわざ聴講しに来るわけだ。

 次回以降、実際の授業の例をいくつか紹介していく。

                     慶應義塾大学SFC 環境情報学部2年 水谷 晃毅