第53回:デザイン言語(その4)

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 今回は、ゲームプロデューサー・鈴木達也氏の講演内容について。

 皆さんは「無限回廊」というテレビゲームをご存知だろうか?おそらく名前を聞いたことがない人でも、映像を見ればすぐにピンとくるはずである。プレイヤーは様々な種類の「錯覚」を利用しながら、キャストと呼ばれる動き続ける駒を誘導するというパズルゲームの一種である。オリジナルステージを作成することもできる。

 このゲームの元はある学者の作成したフリーソフトであり、オーディションによるアイディア公募によってゲーム会社の目に止まり誕生した。ゲーム化するに当たって、鈴木氏は様々な工夫を施したと言う。たとえば、ゲーム音楽に弦楽を取り入れたり、美術館との提携も行った。また、UGC(User Generated Contents)と呼ばれる、「ゲームを作る→ユーザーに作品を作ってもらう→広告に反映させる」という、ユーザー参加型のコンテンツを導入。鈴木氏いわく、「雪だるまやトランプの城と同じで、作っている本人が『できた』と口にすればそれで完成」というルールにしたらしい。「完成をあえてぼかす」ことで、よりゲームに深みをもたせたわけである。

 この他にも、「to expand “link”」と題して、鈴木氏がプロデューサーとして普段から心がけていること・実践していることを挙げられた。たとえば、
・1日に1,000件のニュースを流し読み   ・・・アイディアの目
・紙媒体(週刊アスキー&AERA)   ・・・世相
・メーリングリストを利用しネタを投げる   ・・・議論
・ブログを書く&はてなダイアリーブックで本にする   ・・・反芻
・写真を残す   ・・・記録
など。

 プロデューサーという仕事は、「商社」に似ているらしい。企画だけでなく、金融・流通・情報などにも携わらなければならない。常にアンテナを張り巡らせることが非常に大切なのである。『Do or do not. There is no “try”.(「試す」なんて言うな。やるかやらないかだ。)』という言葉から、その重みが感じられた。

                     慶應義塾大学SFC 環境情報学部 水谷 晃毅