第64回:リーダーシップ論(その2)

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 リーダーシップとは何か。その答えは、時代によって刻々と変化する。

 最初は、「集権的」リーダーシップ。絶対的な権力を持ち、服従を強いる。大量生産を始める企業(アメリカ・フォード社など)に多い。

 だがこのスタイルでは市場ニーズの多様化に対応できず、「分権的」リーダーシップへと変化。ゼネラルモーターズ(GM)のように、事業部制を採用し、多様な車種を製造。各分野ごとに、事業部長に任せる。しかし、ここでは現場とマネージャーの対立が起きる。従業員の独創性が排除され、経営者の命令に対する見直しプロセスがない。

 そこで生まれたのが「価値共有」のリーダーシップ。「働く意味を提示する」「企業文化を形成し、従業員に働く意味を提供する」のがマネージャーの役割とし、終身雇用制や年功序列を採用。組織と労働者の一体化を目指す。これがまさに、高度経済成長期の日本的経営である。

 だがここでも問題が。仕事を離れることになった際、仲間など収入以上のものを失うことになってしまう。そんなバブル崩壊後の失われた10年に、アメリカのGEが提案したのが「変革」のリーダーシップ。とにかく変化し続ける、「自転車を漕ぎ続ける」というスタイル。しかし、このスタイルでは成功例がない・誰も経験したことの無い状況に弱い。また、変化ばかりだと疲れてしまうという問題が発生する。

 そうしていま、行き着いたのが「事業創造」型のリーダーシップ。インターネットの普及により、いたるところに参加者・才能が存在し、それらをネットワークが繋ぐ。社内外・縦割りの垣根もなくなる。そんな状況をうまく活かし、イノベーションを起こすようなリーダーシップである。

 『有能なトップマネジメントは、自分の時間の80%をリーダーとしての仕事に充てる。
しかし、組織の一番下に位置する担当者でも、20%の時間をリーダーとしての時間に充てている。
変化の激しい業界では、さらにその比率が高い。』

 『Doingだけでなく、Beingも必要。』

 変化の激しい現代社会。リーダーシップにも、柔軟性が求められている。

                     慶應義塾大学SFC 環境情報学部 水谷 晃毅