第65回:リーダーシップ論(その3)

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 今回は、「リーダーシップとビジョン」について。

 組織においてプロジェクトを行う際、よく用いられるのが「ビジョン」という言葉である。

 プロジェクトにおける一連の流れ(要素)をあげると、

 基本理念 > ビジョン > 戦略 > 事業計画 > アクションプラン

 という階層構造になっている。ビジョンは「基本理念」の上に成り立ち、ビジョンの上に「戦略」がある。特に日本では経営をコンサルタントに丸投げしてしまうという声も聞くが、結果的に同じような戦略を持つ企業が存在することもあるようだ。リーダー自身がより深く戦略について考える必要があり、そのためにもビジョンは欠かせない要素なのである。

 では、すぐれたビジョンとは何か?

・時を告げるのではなく、時計をつくることを見据える。
・ANDの才能を活かす。
・基本理念の尊重
・BHAG(社運をかけた大きなゴール)

 たとえば、GE(ゼネラル・エレクトリック)の場合、まず価値観の定義&ビジョンの布教を行う。「4つのアクション、8つのバリュー」と呼ばれる共通の価値観が存在し、たとえパフォーマンスが高くても、バリューへのヒットが低い人はどんどん排除する。

 またSONYの場合、「デジタル・ドリーム・キッズ」というビジョンがあり、「日本の製品は品質が悪いという外国での評判を変える」というBHAGがあり、それに基づいて「ポケッタブル・ラジオ」の開発に取り組んだ。どれもいまでは現実となっているが、当時はありえない夢だったのだ。

 appleも同様である。「Computer Power for Everyone」という基本理念があり、「Knowledge Navigator」というビジョンがあった。また「Think Different」というわかりやすい共通の価値観があり、革新的な製品を次々に開発・発表、いまでは大成功を収めている。

 このように実際の企業の例を見ていくと、どの企業にも確固たる「ビジョン」があり、そのビジョンによって今日の成功や社風が築かれていることがわかるだろう。

 慶應義塾大学SFC 環境情報学部2年                              水谷 晃毅