第82回:企業の社会的責任(その1)

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 会社はその経営に対してさまざまな利害を持つ多くの関係者(利害関係者)から成り立っている。株主・債権者・経営者・従業員・取引先・顧客・地域住民などが、他者と協調しつつそれぞれの利益を追求する中で、会社の経営は進められる。

 証券市場は有価証券の所有者が会社に対して持つ様々な権利を売買する場所だ。この講義では、主として有価証券の所有者がそれぞれの利益追求のために会社に対してどのように影響力を及ぼそうとしているか実例を交えながら学習することを目的としている。(シラバスより引用)

 本講義は大和証券グループの寄付講座である。大和総研経営戦略研究所から各分野の専門家を迎え、各テーマごとの近年の動向と事例を交えながら解説していただいた。始めは株式会社制度の基礎を支える株主の観点から「コーポレート・ガバナンス」について学び、続いて「企業の社会的責任(CSR)」について扱った。「内部統制(リスクマネジメント)」や「IR(インベスター・リレーションズ)」、「社会的責任投資」などの分野についても触れた。

 先述したとおり、各回の講義ではそれぞれの分野の専門家が招かれる。現役のエキスパートのため、実務的な話が多く取り入れられていた。私のように、経済や金融が専門ではない学生にとっても興味深く、多くの学生が受講していた。

 深刻化する環境問題、金融危機など、各企業が直面する課題は多い。そんな難しい時代において、常に消費者から選ばれ続け、生き残っていくにはどうすればいいのか。地球同様、企業にも「持続可能な発展」が求められている。たんに利益だけを追求するのではなく、消費者に対する責任や、企業で働く人々の環境改善など、その多岐にわたる役割を着実に果たさなければならない。

 次回以降、詳しい授業内容を紹介していく。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅