第87回:企業の社会的責任(その6)

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 今回は、「IR(インベスター・リレーションズ)」について。

 IR活動とは、企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動のことである。日本では、「投資家向け広報」とも訳されている。全米IR協会によると、「IRは企業の証券が公正な価値評価を受けることを最終目標とするものであり、企業と金融コミュニティやその他のステークホルダーとの間に最も効果的な双方的コミュニケーションを実現するため、財務活動やコミュニケーション、マーケティング、そして証券関係の下でのコンプライアンス活動を統合した、戦略的な経営責務である。」と書かれている。ちなみに、IRという言葉を最初に使ったのは、1953年に担当部署を発足させたゼネラル・エレクトリック(GE)と言われている。(ウィキペディアより引用)

 授業では、日本におけるIR活動の年代的推移など、いくつかのチャートも交えつつ紹介された。IR活動の企業数の増加に伴って、制度開示から任意開示への流れも高まりつつある。以前は、商法や会社法、証券取引法などに基づく「法的開示」が主であったのに対し、メディアやアナリスト、ブログやホームページなどを通した「任意開示」も増えてきている。

 市場が求めるIR活動にも、さまざまな種類がある。たとえば、収益分析や業界他者とのデータ比較、企業成長ストーリー、経営者の手腕などがある。こうした多岐に渡る情報を公開するために、米国の証券取引委員会(SEC)が「エドガー」という情報開示システムを管理・運営している。エドガーとは、「Electronic Data Gathering, Analysis and Retrieval System」の略称で、1984年に実験システムがスタート、1995年に本格始動した。エドガーは「企業情報の図書館」とも呼ばれており、SECのホームページより閲覧することができるようになっている。

 最近のトレンドとして、各企業ともWebサイトに力を入れている。FLASHなどのリッチコンテンツやRSS、ウィキペディアやYoutubeなどSNSサイトの活用によって、より高い関心を引こうとしている。IRサイトのトップページは、もはや「企業の顔」となっているのである。

                       慶應義塾大学SFC 環境情報学部 水谷 晃毅