第92回:マスコミュニケーション(その4)

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 今回のテーマは、「テレビに未来はあるか」。

 近年、視聴率の低下や、収入源の大半を占めていた広告収入が大幅に減るなど、テレビ業界は厳しい状況に置かれている。各社とも産業の多角化を目指し、オンデマンド放送の開始、映画作成、番組を利用した商品の開発など、さまざまな試みをするようになった。

 この授業においても、「通信放送融合時代」といわれる現代において、テレビの収益見通しや、オンデマンド放送の需要について考えた。私が書いた文章は、以下の通り。

 『オン・デマンドとは、「要求次第」という意味である。視聴者が見たい時に見たい番組を見ることができ、そのジャンルはテレビ番組だけでなく、映画やスポーツまで多岐にわたる。極端な話、オン・デマンド放送があれば「暇な時間」をなくすことさえできるのである。
しかしNHKや民法各局が行っているオン・デマンド放送には、有料のものが多い。NHKオンデマンドでは、1番組105円~315円となっている。YouTubeなどの動画閲覧サイトから、連続ドラマを番組別に整理して(CMをカットするなどの編集までした上で)まとめた便利な無料サイトも存在する世の中で、わざわざお金を払ってまで録画番組を観たいと思う人がどれほどいるだろうか。ここでしか観れない、という特別番組であれば話は別だが。
「オン・デマンド」というシステム自体には、一利用者として大いに賛成だ。しかしそのビジネス化には、やはり限界があるのではないかと思う。』

 これに対し、コメンテーターの学生からは、次のような講評を頂いた。

 『つかみの「オン・デマンド」の意味のところは面白かったです。もう少し知りたいとも思ったくらいなので、何語かとか、どこから来たのかも知りたかったです。一利用者として賛成なら、ビジネスとしては成り立つはずです。何か提案がないと、文章としては成立しないと思います。』

 400字以内という限られた字数の中で、問題提起と共に解決策まで提示することは、正直かなり難しい。だが、具体的な「提案」がないと文章として成立しないのは、まさにその通り。もう少しバランスを考えてまとめることが必要だと感じた。

                       慶應義塾大学SFC 環境情報学部 水谷 晃毅